この記事をご覧のあなたはどうしてますか? 【加齢臭ケア】
加齢臭がとても気になりだしてから、私なりに加齢臭についていろいろ調べてみました。そして、仮説検証などを踏まえ「現時点において、努力して改善できうる最大限の加齢臭対策の形」としてある結論に達しています。
ただし、あくまで現時点での話です。今後さらに加齢臭に対する研究がすすみ、加齢臭の原因物質である2‐ノネナールの発生を防ぐような飲み薬が開発される日が来るかもしれません。おそらく「加齢臭の悩みから解放される日」はそんなに遠い未来ではないと信じています。その時までは、できる努力を続けていきましょう。
ここでは、これまで加齢臭に関して調べてみて分かったことを整理し、出来るだけ簡単に私の考えをまとめてみます。
私が考える「加齢臭との向き合い方」についてまとめみます。
加齢臭についてわかっている事実
若いときは加齢臭は発生しない。
加齢臭の原因物質は若いときには皮膚から分泌していません。個人差はありますが、おおよそ40歳以下では加齢臭の心配はないと思われます。
2001年にHaze S., Gozu Y., Kohno Y., et al により発表された文献データをみると疑う余地はないと思われます。ただし、これはあくまで加齢臭の原因物質である2‐ノネナールが検出されていないだけです。
最近では30代からのミドル臭なども取り上げられています。また、10代でも部活をしていると汗をかいたあとのニオイや体臭(ワキガ)がキツイ人がいることを経験的にご存知かと思います。
加齢臭の臭いの元は皮脂に含まれる
加齢臭の原因物質は2‐ノネナールです。ノネナールは皮膚から分泌される皮脂に含まれています。
皮膚表面の脂質を酸化分解して調べてみたところ、ノネナールを生じるのはパルミトレイン酸やバクセン酸であることが分かりました。
これらはω7とよばれる不飽和脂肪酸であり、加齢に伴い皮脂にω7が含まれていることが分かっています。
皮脂に含まれる加齢臭の原因物質の割合は加齢と共に増えていく
若い人の皮脂に含まれる主要な不飽和脂肪酸は ω10であり、酸化されてもノネナールを生じません。
高齢になると、皮脂に含まれる「加齢臭の原因物質を生じる不飽和脂肪酸 ω7」の割合が増えます。
文献からの模写データ 加齢と ω7/ω10比率の関係
下左図は加齢に伴い、ω10に対するω7の比率が大きくなっていることを示しています。つまり、同じ量の皮脂を分泌したときその皮脂の中に占める加齢臭の原因物質は加齢に伴い増えていくことを表しています。
下右図は加齢とともに加齢臭の原因物質である2‐ノネナールが増えていることを表しています。(年をとっても2‐ノネナールがほとんどでない人もいるので、かなり個人差があると言えそうです。)
引用元: 繊維機械学会誌 56巻(2003)11号 P448-P455「高齢者の体臭について」堀田 晴美 著
引用元:「高齢者の体臭について」 模写データ
文献からの模写データ 加齢と皮脂量の関係
この研究はイタリアのデータになります。加齢にともない、皮脂の量が変化していく様子が分かります。男女ともに思春期ぐらいから皮脂量が増加して成人になってから安定し、女性は40代から皮脂量が減少していきます。一方、男性は成人後はさほど変化がなく、60代から70代にかけて皮脂量が減少していくようです。
引用元: Journal of Investigative Dermatology ,73:112-117,1979
Marcella Nazzaro-Porro, M.D., Siro Passi, Ph.D., Luigi Boniforti, Ph.D., and Fernando Belsito, Ph.D.
Istituto Dermatologico San Gallicano Roma, Italia
引用元:「Journal of Investigative Dermatology ,73:112-117,1979」模写データ
加齢と共に変化するω7とω10の比率に注目
文献の模写データに、私がω7とω10の比率の推移を表す線を赤い線で加筆しています。おおよその中央値として直線にて表してみました。
25歳くらいからω7がわずかに検出され始め、50歳くらいでω7とω10の比率が1となり75歳くらいでω7はω10の2倍くらいの比率になるのであろう。
文献データをもとにした推測値
2つの文献データを組み合わせ 私が推測する加齢とω7の関係
ここでは、加齢と加齢臭の原因物質2‐ノネナールの元であるω7との関係を表したくて、推測データとして加工してみました。
実際には、下図に示すような計測がなされたわけではありません。まったく異なる研究のデータを組合せることで私が勝手に推測してみました。
皮脂の分泌は思春期のころから増加し、男性の場合は60代くらいまではあまり分泌量の変化はなく、60代から70代にかけて減少していきます。一方で、加齢臭の原因物質である2‐ノネナールを生じている不飽和脂肪酸ω7が占める割合が多くなることが分かっています。
つまり、加齢により肌における皮脂の分泌量そのものは減り乾燥しやすくなるのですが、少なくなる皮脂分泌量の中に占めるω7の割合は増えていくのです。
私が推測するω7とω10の変化
洗い過ぎは皮脂の分泌を増加させてしまう
皮膚科専門医著書 「テカリ予防」からの引用:
皮脂を取り除こうと一生懸命洗顔することはやめましょう。肌へのダメージがバリア機能の低下、延いては乾燥を招き、皮脂をさらに分泌させる結果となります。洗顔は必要以上には行わず、なるべく肌への負担を減らすことが大切です。洗顔は優しく、泡を使って行いましょう。そして、十分な保湿をしてあげた方が皮脂の分泌を結果的に抑えることができます。
ここでは、テカリが気になる人への洗顔に関するアドバイスではあるのですが、肌のメカニズムは基本的に同じであると思いますし、からだの中で皮脂の分泌が多い箇所は頭部と顔ですので、洗顔による皮脂の分泌増加は加齢臭の増加を示唆していると考えています。
また、洗顔に限らず体を洗い過ぎると、皮膚の乾燥をまねき皮脂をさらに分泌させる結果となると考えられます。
加齢臭に有効と考えられる対策は
加齢臭に関する文献などを読み調べてみると、加齢臭の原因物質は何なのか?、どこから発生するのか?、なにが有効なのか?といった問の答えが分かってきました。
また、加齢臭と皮脂が密接な関係にあることもわかってきました。その皮脂を上手くコントロールするには肌のコンディションを整えるスキンケアが非常に重要であることも実感しています。
湯船につかる入浴
湯船に浸かることで皮脂や汚れをある程度落とすことができるし、リラックス効果がえられますので、シャワーだけですませるのではなく湯船に浸かることをおススメします。
皮膚科専門医著書より
浴槽の湯の温度は40℃以下が望ましい。なぜなら、お湯の温度が42℃以上だと肌のバリア機能の低下やかゆみにつながるからです。また、入浴時間は長くても10分程度としましょう。
30分以上の半身浴などで汗をかいてそのまま放置していると、汗が分解されてアルカリ性に偏り、肌のバリア機能を低下させてしまいます。
私が選んだ保湿アイテム: ビオレu うるおいバスミルク
毎日の湯船に保湿用入浴剤をつかっています。赤ちゃんのデリケートな肌にも使えます。
また、マイクロバブルが加齢臭対策として有効であるという研究データがあります。加齢臭に効果的な入浴方法とは? マイクロバブルに注目!!
肌のコンディションを整える
肌には大切な機能があります。外部からの刺激をブロックし水分の蒸発を防ぐ「バリア機能」とキメの整った美しい肌つくるために重要な「ターンオーバー」です。ターンオーバーは加齢や紫外線の影響により乱れてきますので十分な紫外線対策と睡眠、食事、運動といった生活習慣を整えることが非常に重要となります。
肌質の違いにより普通肌、脂性肌、乾燥肌、混合肌と分かれており、水分量と皮脂量のバランスが違いますので、人それぞれに適したスキンケア用品があります。
たとえば、オイリー肌(油性肌)なのに油分が多めのクリームを塗っていると油分過多となります。
スキンケア化粧品を使用するときは、その成分にも注目して選びましょう。皮脂の分泌を抑えたいのであれば、ビタミンCなどの皮脂の分泌を抑制する効果があるものを選ぶと良いでしょう。
皮脂の分泌を抑制するために効果的な化粧品成分とは
皮膚科専門医著書にて紹介されている化粧品成分とその効果についてご紹介しますので、スキンケア化粧品を選ぶときの参考にしてみて下さい。
皮脂の分泌を抑制 | |
こんな悩みに | 代表的な化粧品成分 |
皮脂の分泌を抑制したい | ピリドキシン H C l |
ローズマリー葉エキス | |
オウレン根エキス | |
グリコール酸(AHA;α‐ヒドロキシ酸) | |
サリチル酸(BHA;β‐ヒドロキシ酸) | |
ナイアシンアミド | |
レチノール | |
ビタミンC誘導体 |
肌への刺激が少なく、脱臭・消臭効果を期待できる石鹸を使用する
どのような石鹸あるいはボディソープをお使いになるかは、ご自身でいろいろ試してみるしかないと思います。
一般的に評判が良いものを使ってみても、その香りが気に入らなかったり、使用後の肌のツッパリ感が気に入らなかったりするものです。
それから、肌質の違いがありますので、やはり試してみるしかないのかと思います。私は無添加で自然由来の消臭成分を配合したボディソープを使用しています。一番気に入っているのは使用後の肌のしっとり感です。(メントールのスッキリ感があるのですが、冬場は肌寒さを感じるかもしれません。)
私が選んだボディソープ: ボタニカルボディソープ FRESHU
無添加で天然の消臭&保湿成分を配合
しっかり保湿する
洗顔すると、肌の保湿作用をもつセラミドなどの細胞間脂質、アミノ酸などの天然保湿因子、皮脂が洗い流されてしまいますので、クリームや乳液でしっかり保湿しましょう。
保湿を怠ると、肌が乾燥し、皮脂の分泌増加をまねくこととなり、加齢臭のリスクが高まります。また、入浴後の保湿ケアも欠かせません。
加齢臭対策としては、皮脂腺が多い頭部と顔と首周りの保湿をおすすめします。
顔においては特に目の周りや口の周りは乾燥しやすい部位であり、しっかり保湿しないと乾燥小ジワの原因にもなります。
入浴後は肌の乾燥を招かないように、乾燥しやすい体の部位も保湿することをおススメします。腰回り、肘、膝、脛、など。また、肌年齢がでやすい手の甲もしっかり保湿することをおススメします。
肌の保湿に効果的な化粧品成分とは
皮膚科専門医著書にて紹介されている化粧品成分とその効果についてご紹介しますので、スキンケア化粧品を選ぶときの参考にしてみて下さい。
保湿に効果的 | |
こんな悩みに | 代表的な化粧品成分 |
保湿したい | ヒアルロン酸 |
コラーゲン | |
セラミド |
私が選んだ保湿クリーム: ちふれ うるおいジェル
刺激が少ないアルコールフリータイプで顔と首に使っています。化粧水・美容液・乳液・クリーム・パック・化粧下地の6つの役割をこれ一品で
MYTREXシャワーヘッドを使用するようになってからは、顔と頭皮にマンダム ルシード(エタノール使用)は使っていません。 なぜなら、肌の状況が変わり、刺激を感じるようになったため。
現在、マンダム ルシードの頭皮への使用は、私の加齢臭対策として逆効果になっていると感じています。
以前、私が選んだ保湿アイテム: マンダム ルシード
さらっとした乳液タイプです。以前、私は顔、首、頭皮の保湿に使っていました。
MYTREXシャワーヘッドに興味がある方はこちらをご覧ください。
私が選んだ保湿アイテム: ヴァセリン アドバンスドリペア
手、腕、肘、膝、脛、かかと、足の甲に使っています。
ストレスを軽減する
精神的ストレス、身体的ストレスなどとにかく「疲れが溜まった状態」になってしまうと加齢臭が気になる。
日頃から加齢臭対策は行っていても、ニオイの強弱は日々違うものです。その違いを実感するのは入浴時です。
ニオイの元となる皮脂の分泌を抑えるために保湿クリームを塗ったり、首元にはミョウバンクリームを塗ったりしているのですが、湯船につかりしばらくすると首元のニオイが気になるときと、さほど気にならないときで随分と差を感じます。
特に精神的ストレスは影響が大きいのではないかと思っています。ですから、悩み等も独りで抱え込まないようにしたり、自分にあったストレスコントロール法を見つけることも大切だと思っています。
UVケアと抗糖化で肌の老化を防ぐ
UVと酸化ストレス
紫外線は皮脂の分泌を増加させます。ですから、UVケアは夏場だけでなく、1年を通して行いましょう。
紫外線はバリア機能を低下させて肌の乾燥の原因にもなります。紫外線による肌の変化は酸化ストレスが関連していて、紫外線により活性酸素が過剰となったり、タバコも酸化ストレスの原因となります。
また、見た目年齢には内臓の老化が大きく関わっています。メタボや糖尿病、高血圧といった生活習慣病は血管の老化を促進させ内臓を老化させます。この血管の老化により肌ではシワ・たるみ・くすみなどとして現れてきます。
抗糖化 老化物質AGEを抑制
糖化は老化の原因の一つです。「糖化」とは体に取り込まれた「糖」がタンパク質と結びついて変性する現象をいいます。糖化が起こると、結果としてAGE(advanced glycation end products)という有害な老化物質を作り出すことになります。
AGEとは「糖まみれになって劣化した、質の低い老化タンパク質」のこと。
皮膚科専門医著書より
AGEは全身に蓄積されさまざまな健康障害をもたらすことがわかっていますので、食生活の見直してみてはいかがでしょうか。
炭水化物やスイーツ、清涼飲料水などは摂取後すぐに血糖値を上昇させ糖化反応を促進します。AGEの7割は体内でつくられるのですが、ホットケーキなどの香ばしい褐色は糖化反応によってできたAGEそのものです。
AGEは揚げたり、焦げ目をつけて焼くことで作られてしまいますので、食品を生で食べたり、茹でる、蒸す、煮るといった調理法を行うことでAGEの量は少なくなります。
皮脂の分泌をコントロールするB2、B6を摂取する
食事の面ではビタミンB2およびB6が皮脂の分泌をコントロールするため、積極的に摂りたい栄養素です。
皮膚科専門医著書より
ビタミンB2を多く含む食品は
うなぎ、鶏卵、レバー、牛肉、豚肉、脱脂粉乳、干し椎茸、アーモンド、ドジョウ、小麦胚芽、納豆、いわし丸干し、緑黄色野菜など
ビタミンB2の働き
生体内においては脂肪、炭水化物および蛋白質の代謝や呼吸、赤血球の形成、抗体の生産、正常な発達に必要とされる。甲状腺の正常な活性の維持や、皮膚、爪あるいは頭髪をはじめ体全体の正常な健康状態の維持に不可欠であり、不足すると口内炎や舌炎、皮膚炎、てんかん発作などの症状を生じる。
ウィキペデアより
ビタミンB6を多く含む食品は
レバー、まぐろ、かつお、鶏むね肉、紅鮭、ジャガイモ、バナナなど
ビタミンB6の働き
生体内ではアミノ酸の代謝や神経伝達に用いられ、不足すると痙攣やてんかん発作、貧血などの症状を生じる。
ウィキペデアより
消臭対策品を使う
出来れば、石鹸もしくはボディソープそのものに消臭機能があるとよいでしょう。たとえば、私が愛用しているFRESHUは消臭効果を期待できる植物由来成分を配合しています。カキタンニン(抗菌、防腐、防虫効果、消臭効果)、クマザサ葉エキス(脱臭効果、抗菌作用)、チャ葉エキス(脱臭効果)、ローズマリー葉エキス(抗酸化作用)、アンズ種子エキス(抗菌効果、保湿効果)、オオウメガサソウ葉エキス(消臭効果)
デオラボ ミョウバンクリーム
ミョウバンクリームは大変人気のデオドラントクリームです。ワキガや体臭対策として人気があるようですが、加齢臭にも効果的だと実感しています。
※Deo Lab ミョウバンクリームが入手できなくて困っている方へ(私自身も困っています。)
ミョウバンを使った他のデオドラントクリームを試してみましたので、興味がありましたら参考にしてください。D-tube デオドラントクリーム(ミョウバン)
まとめ
「肌のコンディションを整え、しっかり保湿して加齢臭の原因物質を含んだ皮脂の分泌を抑えること。」
基本的には、いい香りの香水をまとうのも決して嫌いではないし、良い香りに包まれると気持ちがよいものです。(たまに香水で頭が痛くなることはありますが。)以前はそれがエチケットのようにも思っていました。
しかし、中古住宅の臭いの問題を解決するには「ニオイを香りでごまかす」のではなく【臭いの元を徹底的に除去するしかない!】ということを思い知らされたのでした。そんな体験もあり、加齢臭対策においても、家のニオイ問題と同じ対処法が有効だと思っていました。
ですが、上記のデータからも分かるように現時点の科学では中年以降の身体から発する加齢臭をゼロにすることは不可能だと考えています。加齢臭の臭いの元は皮脂に含まれていますので皮脂をしっかり除去したいところですが、一方で皮脂は肌のコンディションを保つために不可欠な存在です。
皮脂を除去しすぎると、皮膚は乾燥を防ぐために皮脂を分泌しようとします。つまり、【皮脂の徹底した除去】がさらなる皮脂の分泌を促してしまうという悪循環に陥ります。
つまり、皮膚科医専門医のスキンケアアドバイスのように「適度に肌を洗い、しっかり保湿する。」これに尽きると思っています。
また、体臭が気になる部位は、個人差があるのだと思います。胸部や背中のニオイが気になる人もいるのでしょうが、頭部と顔では皮脂腺の数が多く、皮脂腺が大きいと報告されていますので加齢臭対策では一番気を付ける部位だと思います。
私の場合、後頭部から首にかけてが一番ニオイが気になります。そのため、頭皮の保湿によって余分な皮脂の分泌を抑えることが頭部の臭い低減に効果があるのか試しています。頭部の保湿は最初ちょっと抵抗がありますが、加齢臭対策として是非試してみてください。(※2022.7 MYTREXシャワーヘッドを使うようになってから頭皮の状態が変わってきたようなので、現在は頭部に保湿クリームを塗っていません。)