「俺もいよいよ三十路か」これでもう青春は終わり。そんなしんみりとした感傷に浸ったことありませんか?そして、同時に「いや待てよ。30歳の俺はまだまだ若くね!」きっとそう思ったはず。
やがて、35歳くらいになると、否が応でも体力が落ちてきたことを実感する瞬間が出てきます。そうなんです。認めたくないかもしれないけども、確実に新陳代謝が落ちてきているサインなのです。
しかし、全てをあきらめる必要はありません。50歳になった時に私と同じように後悔しないために、はじめませんか? さあ、ここからがスタートですよ。【 ボディケア&スキンケア 】
50代で後悔しないように 40代からはじめてほしいスキンケア
知らないと損する肌のこと
私たちいわゆるオジサンの世代の常識の感覚では、芸能人はともかく一般の男性がメイクアップする日が来るなんて想像してなかった。メイクは女性がするもの。男は「日焼けした黒い肌のほうが男らしくて良い」みたいな暗黙の共通認識があったように思います。
昭和生まれのオジサンの若い頃は、タバコを吸わないと肩身が狭い空気さえあったし、酒の席では先輩の盃は絶対みたいな空気ビシバシで「俺の酒が飲めないのか?」なんて言われたら断れるわけないじゃないですか。そして意識を失う。そんなことはざらだった。この頃は私もまだ20代だから、酒でつぶれた翌日でもなんなくカバーできていたころだと思います。
それから、喫茶店のおしぼりで顔をゴシゴシ拭くのも、ごくごく当たり前だった気がするし、そんなダサい昭和も今ではなんだか懐かしいものです。
やがて三十路となり、30代半ばから徐々に体力の衰えを感じ出したように思います。もちろん個人差はあるでしょうが、私の場合はいつのまにか、片足スクワットができなくなっていたことに驚いたことを覚えています。
体力的な若さを失い始めていることを自覚し始めたちょうどこの頃に、新陳代謝が急激に下がり始めているのだと思います。50歳になった時に私と同じように後悔しないために、遅くとも40代から、できれば新陳代謝の低下を実感し始める30代半ばまでにはスキンケアを始めることをおススメします。
年齢とターンオーバーについて
齢を重ねると新陳代謝が下がり、肌のハリがなくなっている事はうすうす感じていていました。
洗顔時はメガネをかけませんし、老眼が始まってるから、いつも鏡越しに自分の姿をぼんやりと見ていていたようです。(無意識の自覚としては「ぼんやりしている」とは思っていないのですが、老眼鏡をかけてみるといきなり鮮明に見える)
あるとき、老眼鏡をかけて自分の姿を見てびっくり、こんなにもシミが多いことに驚き、それに、おでこのシワがこんなに深かったんだと。
おそらく、50代になるとわたしと同じような経験をされた方は多いのではないかと思います。そして、どうにかしたいな。と思いながらも何をやったらいいのか分からない。そんなあなたにとって、この記事がいくばくかの力添えとなれたら嬉しいものです。
ところで、肌の大切な機能にかんする「バリア機能」と「ターンオーバー」ということばをご存知ですか?
・ターンオーバーとは、いわゆる皮膚の新陳代謝のことなのです。
・バリア機能とは、肌への刺激をブロックし、水分の蒸発を防ぐことです。
バリア機能につて詳しくは肌のしくみをご覧ください。
肌のつくりは、内側から順に「皮下組織 ⇨ 真皮 ⇨ 表皮(肌の表面)が重なった三層構造」となっています。そのうちの古い表皮がおよそ1~2ヵ月をかけて新しい表皮に生まれかわることをターンオーバーと言います。
たとえば、20代の頃でしたら、夏に日焼けして肌を焼いても、肌寒くなる頃には日焼けした肌の色が薄くなってきます。これがいわゆるターンオーバーのおかげなのです。
肌のターンオーバー(自己再生能力)と年齢
20代の肌のターンオーバー周期はおよそ28日
40代ではターンオーバー周期は55日と若い頃のおよそ2倍になると言われています。
ターンオーバー機能が低下すると どうなる?
ターンオーバーが遅くなっていくことは、そんなに大変なことなのでしょうか?いったいなにが問題なのでしょか。皮膚科専門医の著書から学んでみましょう。
肌が生まれかわるサイクルが徐々に遅くなることで、肌に蓄積された「シミ」の原因であるメラニンがそのまま残りやすくなります。
皮膚科専門医著書より
つまり、ターンオーバー(肌が生まれかわるサイクル)が遅くなることでシミができやすくなるいうことですね。これってかなりまずくないですか。
メラニンは日焼けだけでなく、ニキビができたときや虫に刺されたときなどに起こる「炎症後色素沈着」によっても作られます。そのため肌に色ムラができたり、シミができたりします。
皮膚科専門医著書より
シミの原因は紫外線だけではないんですね。「ニキビを放ったらかしにして、炎症が起きたしまった。」なんてことが無いようにしなくてはいけないし。「虫に刺されて腫れた」なんてことにならないように、虫よけスプレーなどをつかって気を付けたほうが良いみたいですね。
ターンオーバーが遅延すると、皮膚の一番表面にある角層細胞のサイズが大きくなり、「キメ」の粗い肌になる傾向にあります。
皮膚科専門医著書より
肌のキメが粗くなると、「肌の弾力が弱くなり、毛穴やシワが目立つようになり、肌の潤いやハリを感じなくなり老けた印象となる」と言われていますからね。やっぱり、スキンケアをしっかりしたほうがいいみたいですね。
見た目年齢と血管年齢につて
突然ですが、あなたはあなた自身の見た目って気になりますか?
わたしは、20代のころに比べると自分自身の見た目についてそこまで気にならなくたったと思います。どちらかというと、私が気にしているのは、くたびれた下着や靴下をみにつけていないかということです。やはり、50代ともなると自分の身に、いつ何が起こるかわからないですからね。
歳をとっても気になる「見た目」とは
男性の「見た目年齢」
見た目で気になるのは、男性ではやっぱり頭髪ですかね。中には年をとっても髪にコシあり、ふさふさして白髪がない人がいますよね。見た目が若々しくなんとも羨ましい限りです。だれでも、ふつうにハゲたくはないですよね。白髪も老けて見えるから、まあまあ気になるところかもしれません。
私が30代40代のころは、まだまだ見た目が気になって薄毛のことをかなり気にしていました。しかし、50代後半のオジサンともなると、「生きているだけで丸儲け」みたいに開き直っているから、ハゲ散らかしていても気楽なものです。
女性の「見た目年齢」
いっぽう、女性の見た目年齢を左右する大きな要因は「肌の特性」だそうです。30代40代女性を対象としたある研究によると、見た目年齢に影響を及ぼしているのは顔の形や顔のパーツの大きさや位置よりも肌の特性だったという報告があるそうです。
また、皮膚だけでなく、脂肪、靭帯、骨などの多くの臓器も見た目が老けてくることに関係していることが分かってきているようです。
見た目年齢を左右する肌の特徴とは
しみ・しわ・たるみ
色ムラ・柔軟性・皮脂量・アゴのたるみ
皮膚科専門医著書より
この結果は同世代の女性にはキツイけども、なるほどと思ってしまいます。たしかに、きれいな肌は魅力的だし、肌のハリとみずみずしさは年齢とともに失っていることは誰しもが実感して分かっていることではないかと。
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・30代はしのび寄る薄毛にショック
・50代はハゲよりもシミにショック
私の実体験と実感
「見た目年齢」を左右する「血管年齢」
実年齢よりも若々しく見える方のことを「見た目年齢が若い」と表現されます。そんな見た目が若い人はアンチエイジングに対して関心が高く、日頃から美容に関する努力をされているのだと思います。
そんな美容のための努力には、アンチエイジング用の化粧品を使っているとか、アンチエイジングに効果があると言われているサプリメントを飲んだりといったことも含まれているのだと思います。
そして、もう気づいているかもしれませんが、実はアンチエイジングのためにスキンケアはたいへん重要なのです。
そして効果的にアンチエイジングを行うには、スキンケアとあわせて「食事」と「運動」にも関心をもっていただきたいのです。
なぜかと言いうと、「見た目年齢」と「血管年齢」は比例するからです。
血管年齢とは血管の老化の度合いを表す目安です。
動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの血管病に密接に関係しています。
皮膚科専門医著書より
上に挙げたような血管病にかかってなくても、実は加齢とともに血管の老化は進んでいるのですよ。
アンチエイジングケアについて
血管年齢が高くなるということは、血行不良をまねき、肌に栄養や酸素がいきわたらず、ターンオーバーが乱れることになるそうです。だから、「運動」と「食事」はアンチエイジングのために重要なんです。
アンチエイジングと運動
血管年齢は肌と直接関係がないように思えますが、血管が若々しい人と血管が老けた人では肌のハリ、クマ、キメなどで大きな差が生まれてくるそうです。
血管年齢を若く保つには、生活習慣病と言われるメタボ、高血圧、糖尿病などに注意が必要です。そして、内臓脂肪を減らすためにバランスの取れた食事と適度な有酸素運動をおこなうことが効果的だと言われています。
そして、肌の黄ぐすみ、シワ、たるみなどには「糖化」が大きく関係しています。糖化によってできる老化物質AGEは食事やタバコから3割、体内でつくられるAGEが7割なのだそうです。
つまり、全身で起きている「糖化」を抑えるためには運動が非常に重要なのです。それを裏付けるように、「運動を継続することによって肌が若返る」という報告がなされています。
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アンチエイジングと食事
皮膚科専門医著書のなかで紹介されている食事法とは、アメリカで支持されている「地中海式ダイエット」と「DASHダイエット」です。
・地中海式ダイエット…オリーブオイル、魚、野菜、果物、ナッツを多く取り入れています。心血管病変や糖尿病のリスクを低減することが報告されています。
・DASHダイエット…野菜や果物をとることを重視しています。全粒穀物、無脂肪あるいは低脂肪の乳製品を推奨しています。
アンチエイジングに効果があるもの
・「ポリアミン」…細胞の老化に関する物質。納豆はポリアミンを多く含み、1日に50gの納豆を食べることをおすすめ。
・「プレバイオティクス」…善玉菌のエサとなることで腸内細菌にプラス働く食物成分。キノコなどの食物繊維、オリゴ糖、発酵食品など
・ピーマンなどのナス科、ブロッコリーなどのアブラ菜科
・「フィセチン」…抗AGE作用をもつ抗酸化物質。ベリー類に含まれる。
・りんご、柑橘類、ベリー類は果糖が少ないため食後のフルーツにおススメ。
・「ガレート型カテキン(EGCG)」…緑茶に含まれるカテキン。抗酸化作用により生活習慣病を予防、うつ病の改善など。
皮膚科専門医著書より
日焼けとシミ
若い頃、アマチュアのテニストーナメントに参加していた私にとって、日焼けした肌はそれだけで強そうに見えるため、魅力的に映っていました。
長袖シャツと長ズボンを欠かせない寒い冬が終わり、やがて初夏のころになるとプレー中は暑くなり、たまらず半袖シャツと半ズボンとなってテニスコートに立つことになるのです。
私は、肌の日焼けがすっかり落ちた初夏に半袖半ズボン姿から白い肌が見えている事をとても恥ずかしく感じていました。だから、社会人になってテニスコートに立つ機会が少なくなってからは、コートで白い肌を見られないように、こっそり日焼けをしていたものです。
一年を通してテニスで汗を流すことで、からだが軽くなり、ストレス発散にもなり、そして、夏には日焼けした黒い肌をみて満足する。冬になるとやがて日焼けが落ちて軟弱な姿に戻るというサイクルを毎年繰り返していました。
後悔している私の実体験 日焼けとシミ
毎年せっせと日焼けに励み、肌が黒い自分に満足することを繰り返していたのですが、なんとなく違和感を覚えだしたのは30代後半になったころだと思います。
どれだけ日焼けしても、例年であれば年を越す頃にはほぼ日焼けは落ちてしまっていたのが、テニスの時にかぶっているキャップによる日焼けの境目が消えなくなってきたのでした。
まだこの頃は、スキンケアなどまったく意識したことがなく、何の手入れもしていない状況でした。
そして、シミに気づいたのは40代になってからです。夏に焼いた肌の日焼けが取れなくなったと思いながら鏡で顔を見ているときに、うっすらとしたシミを発見して驚いたことを良く覚えています。
そして、50代になってからは、日焼けをするような生活をほとんどしていなかったのに、足に大きくてはっきりしたシミを発見してしまったのでした。
あわてて、ケシミンを購入してみたのですが、ケアをするのが遅すぎたようです。ケシミンはシミの元であるメラニンの生成を抑える「シミの予防薬」であり、シミを取り除くものではないからです。
おそらく、日焼けが落ちなくなってきたなと感じていた30代後半からケシミンを使って「日焼けケア」をしていたら、40代~50代で突如あらわれるシミに悩まされることはなかったのでしょうね。
いつの間にか足に大きなシミ
夏場の日用品の買い出しくらいは半袖、半ズボンで気楽に出かけたいのですが、さすがに、ここまでシミがひどいと、一瞬だけ半ズボンを着ることを躊躇してしまいます。ほんとにショックです。
何のケアもしないで、せっせと日焼けしたツケがこんな形で自分自身を苦しめることになるとは思っていませんでした。やはり知らないというのは怖いものです。
シミの原因は
シミの原因といえば、もちろん紫外線ですよね。強い紫外線を浴びたり、長時間紫外線を浴びたりすると肌細胞を守るためにメラニンが生成されます。しかし、加齢とともにターンオーバーのサイクルが遅くなってきて、メラニンが溜まってシミとなることは良く知られていることだと思います。
しかし、シミの原因は紫外線だけではないのです。
シミの種類 | シミの原因 |
紫外線 | |
肝斑(かんぱん) | こすり過ぎ |
女性ホルモン |
肝斑…眼の下から頬にかけて左右対称にできるシミ
シミの種類 | シミの原因 |
炎症後色素沈着 | ニキビの痕 |
美白化粧品が合わずかぶれて炎症 |
シミの種類 | シミの原因 |
色素沈着 | メガネの鼻当ての刺激など |
その他の肌トラブル | 原因 |
くすみ | 血行不良によりターンオーバーが滞り、古い角質が残り、肌の色つやが悪くなる状態 |
黄ぐすみ | 糖化により、コラーゲンやエラスチンなどのタンパク質が変性し肌を黄褐色に変化させます。(余分な糖がタンパク質と結びつきAGEという老化物質をつくる。) |
肌をこすり過ぎることもシミの原因になるのだと知ると、肌に摩擦を与えないことが重要である事をあらためて再認識させられます。
それから、シミではないのですが、糖化がもたらす「黄ぐすみ」という肌トラブルを防ぐには食事や運動が重要だということです。
スキンケアでシミ予防
シミ予防で重要なのは「こすらないこと」です。なぜなら、こすり過ぎが肝斑の原因であることも分かってきているからです。
たとえば洗顔する際に、洗顔料を泡立てずにそのまま洗顔したり、クリームを塗るときも力をいれて塗り込んだりしていませんか。
スキンケアを行うなかで、無意識のうちに肌を擦っていることがあるのではないでしょうか?あるいは、化粧水を肌に浸透させようとパンパンと叩いたりすることもよくありません。
スキンケアの際は「肌にやさしく」が鉄則です。
皮膚科専門医著書より | 成分 |
美白化粧品 | トラネキサム酸、ビタミンC誘導体、αアルブチン |
薬(シミの改善や予防) | 高濃度のハイドロキノン(皮膚科処方) |
シミの一番の原因は紫外線ですので、UVケアも大変重要です。
シワの原因は
シワとは皮膚にできた溝のことですが、顔のいろんな場所にあり、歳をとってくると目立ってっくる印象がありますよね。
一言にシワといっても、実は2種類に分けられるそうです。
シワの種類 | 特徴 | 場所 |
表皮シワ | 皮表にできる浅いシワ | 目じりのシワ、口元のシワ |
真皮シワ | 真皮にできる深いシワ | おでこのシワ、眉間のシワ |
しかし、実際にはふたつのシワは入り混じって存在しているようです。
表皮シワの原因は
おもに皮膚の乾燥が原因です。皮膚が乾燥し柔軟性が低下してしまうことでシワとなってしまうケースがありますので、保湿をすることでシワが改善することがあるようです。
真皮のシワの原因は
本来であれば表情が変化したときに瞬間的にできるのが「表情ジワ」なので、表情ジワは若い人であっても、眉間にシワができたり、おでこにシワができたりします。
しかし、歳をとるごとに徐々に皮膚の弾力性が低下してしまうため、やがて表情ジワがもとに戻らなくなっていくようです。
それは、皮膚のコラーゲンやエラスチンの量が加齢とともに減り、さらに、紫外線の影響によりコラーゲンやエラスチンなどのタンパク質が変質してしまっているからなのです。
つまり、表情ジワが戻らなくなって、真皮シワへと発展していくことが多いようです。
スキンケアでシワ予防
表皮シワと真皮シワのうち表皮シワの最も代表的なのが、目尻のシワです。目尻は皮脂腺がすくないためにもともと乾燥しやすく、しかも、皮膚の厚みは頬の1/3程度と非常に薄いためシワになりやすのです。
皮膚科専門医からのアドバイス
頬など他の部位はクリームタイプや乳液タイプのクレンジングを使っても、目元はポイントリムーバーを使うなど工夫したほうがいいでしょう。
そして、紫外線の強い夏や、乾燥しやすい冬の時期はアイクリームでしっかり保湿するように心がけてください。
皮膚科専門医著書より
顔のパックで保湿する場合は、パックを長時間放置してしまうと水分が蒸発して余計に乾燥してしまうため注意しましょう。また、顔のパックでは目元が浮きがちになるため、目元の保湿ケアを別に行うほうが良いようです。
目尻のシワがちょっと気になる、そんなときはレチノールが配合されたアイクリームなどをためしてみてはいかがでしょうか。
「レチノール」はビタミンA(レチノイド)の一種で、皮膚のターンオーバーを促しコラーゲンを生成し、シワに効果があります。
皮膚科専門医著書より
アンチエイジングと糖化ストレス
引用元:Glycative Stress Research 6(4): 212-218, 2019.
Masayuki Yagi, Yoshikazu Yonei
Glycative stress and anti-aging: 14. Regulation of Glycative stress. 2. Inhibition of the AGE production and accumulation
私と同じ50代のかたが、これからスキンケアをはじめるのであれば、ついでにアンチエイジングについてもちょっと考えてみませんか。
専門家の論文からの引用となるため、難しい内容の部分もあるとおもいますが、これから老いと向き合う私たち世代のスキンケアに役立つよう要約してみたいと思います。
(論文内では糖化最終生成物を「AGEs」と表記していますが、ここでは皮膚科専門医著書に合わせて「AGE」として表現します。)
糖化ストレスとは
余分な糖がタンパク質と結びつきAGEという老化物質をつくることを「糖化」と呼びます。糖化ストレスとは「糖化を促すもと」が体内に過剰に生成されている状態のことです。
還元糖(ぶどう糖、果糖、麦芽糖)、脂質、アルコールに由来するアルデヒド(‐CHO)
通常AGEは腎臓で尿中に排泄されます。しかし、腎機能が低下すると体内にAGEが蓄積されていきます。
異常タンパク質
糖化ストレスや酸化ストレスはタンパク質の異常化を促進します。異常タンパク質による弊害には次のようなものがあります。
アルツハイマー病
アルツハイマー病では異常タンパク質が神経細胞を害し、記憶や学習機能などを低下させます。
白内障
眼内の水晶体が濁り見えにくくなる病気です。水晶体に存在するタンパク質の一種であるクリスタリンは加齢とともに変性し、異常タンパク質へと変わり濁ってしまいます。
通常であれば、異常タンパク質はタンパク質分解酵素によって分解されるのですが、AGE化したタンパク質は硬化しているため分解されにくいのです。
抗糖化
引用元:オレオサイエンス 第18巻 第2号 (2018) 糖化ストレスと抗糖化作用の評価
同志社大学 生命医科学部 糖化ストレス研究センター 八木 雅之 石崎 香 高部 稚子 米井 嘉一
糖化はアンチエイジングの大敵です。糖化ストレスを減らし糖化を抑制することを抗糖化と言います。
抗糖化の基本は普段から「糖化」を意識して生活し、筋肉量の維持、適度な運動、適正な食習慣、心身ストレスの低減を心がけることです。
食後高血糖を抑える
・食事法としては、糖質と野菜またはクエン酸などを多く含むフルーツを一緒に摂取する。
・食事の糖質(主食の米、パンなど)よりも野菜、肉、魚などを先に食べることで食後高血糖を抑制できる。
食後の血糖値上昇を抑える方法として、「糖質制限」がありますが、極端な糖質制限は死亡リスクを高めるという報告もありますので注意が必要です。
臨床試験で天然物の抗糖化作用をヒトを対象とした臨床試験で検証が行われているようです。
糖化反応を抑える
混合ハーブ、紫菊花、クマイザサ、ハーブティー、フルーツ、野菜、スパイス、黒ガリンガルなど多くの素材で抗糖化作用があることが報告されています。【天然物の糖化反応抑制作用はIC₅₀(50%生成阻害濃度)で評価できる】
しかし、からだの中で効果的な糖化反応抑制作用を得るには複数の成分が同時に多経路を阻害する必要があります。
AGE化したタンパク質を分解する
分解作用物質として、PTB (N-phenacylthiazolium bromide) が知られています。PTBと同じ作用をする植物成分にはヨモギ、ルイボス、レンゲソウ、ユズ、ザクロ、ローズマリーなどが知られています。これらの天然物のAGE化したタンパク質の分解作用は体内に蓄積したAGEを分解し排泄するために作用する可能性があります。
糖化反応抑制作用およびAGE分解排泄作用素材のヒトに対する作用検証
糖化反応抑制素材であるマリアアザミ、水栗エキス、マンゴスチン果皮を含む黒酢、混合ハーブ、米ぬか/豆乳、リンゴベリー/桜、ザクロなどの抽出エキスやそれらを含む食品を8~12週間摂取する試験にて血中のAGEや皮膚中のAGEの減少、皮膚弾力の上昇などが報告されています。
ヨモギエキスを配合した化粧水、乳液、クリームの6ヵ月間の使用にて皮膚弾力と肌の黄味が改善したようです。
アンチエイジングのために
美容に関しては、上に紹介している参考資料(論文に掲載されている研究)の中にあるヨモギエキスのように、黄ぐすみの原因物質であるAGE化したタンパク質を分解することで、黄ぐすみを改善できるという研究結果をもとに商品化されているものもあります。
また、美容に限らず、「若々しく健康で暮らせるように努力すること」がアンチエイジングの本質だと私は思っています。
これまで老化についてのすべてが解明されているわけではなく、所説ありますが、老化のメカニズムが少しづつ解き明かされてきていることはアンチエイジングのための大きな助けとなります。
今後もアンチエイジングの研究は進み画期的な発見もあるのだとおもいますが、アンチエイジングを意識した生活の基本となるのは「適度な運動」と「抗糖化を意識した食事」であることは間違いないと思います。
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まとめ
多様性というワードがひろく認知され、個の表現が開放され、いろいろと自由になってきた感があります。そして、男性の美意識も随分と変化してきているのだと思います。
今では、男性の化粧水やファンデーションが普通に販売されていますので、美意識が高い男性にとってスキンケアは常識なのだろうと思います。
しかし、まだまだ美容に抵抗がある男性も多いのではないかと思っています。そんな方々にこの記事を読んで頂けたらスキンケアに向き合うキッカケになるのではないかと思います。
そして、50代の方は私と同じように後悔している人が少なからずいるのではないでしょうか。そんなかたも、是非これからスキンケアを始めることをおすすめします。
なぜなら、肌のため、見た目年齢のため、あるいはアンチエイジングのためにと思い行動しようとしたとき、そのやるべき内容は血管年齢の改善を意識することとなります。それと同時に健康の本質について考えるいい機会になるからです。