皮膚科専門医のアドバイス
フケについて
「皮膚科専門医の著書」より引用または加工してご紹介します。
フケの原因とは
フケの正体とは、鱗屑(りんせつ)といって「角層のかたまり」です。もう少し詳しく言うと、頭皮の脂を好物とする菌によってできた炎症の残骸・かたまりのことを言います。
フケができてしまう原因にはいくつかありますが、そのうちの多くが「脂漏性皮膚炎」というものです。
脂漏性皮膚炎の病態には、マラセチア菌という菌が関係します。マラセチア菌はカビ菌の仲間で、もともと皮膚に住み着いている「常在菌」の一種です。
普段はおとなしい菌ですが、増殖して炎症を起こすと、フケや赤み、かゆみなどの症状をもたらし、ひどい場合では抜け毛や枝毛の原因になってしまいます。
フケは頭皮の皮脂バランスが崩れるような生活習慣の影響が大きい
マラセチア菌は皮脂を栄養分として増殖するため、過剰な皮脂が引き金になる場合があります。
しかし、必ずしも脂性肌(オイリー肌)だからなりやすいということではなく、もともとの肌質以上に頭皮の皮脂バランスが崩れるような生活習慣の方が影響は大きいと言われています。
具体的には、睡眠不足やストレス、食生活の乱れ、アルコールの摂取などです。
そのため、シャンプーや皮膚科からの処方薬だけではなかなか改善しないことが多く、皮脂の分泌を正常にするビタミン類(特にビタミンB類)が豊富で栄養バランスがとれた食事を摂り、規則正しい生活を送ることがとても大切です。
皮膚科では、マラセチア菌に効果のある抗真菌薬の塗り薬や、炎症を抑えるステロイドの塗り薬を処方します。
また、ドラッグストア等にて「フケ用シャンプー」というものも手に入れることができます。
フケに悩んでいる場合は、一度皮膚科の受診を
頭皮トラブルの原因は、脂漏性皮膚炎だけではなく、例えば髪染めやシャンプーによる「接触性皮膚炎(かぶれ)」や、乾燥による「皮脂欠乏性皮膚炎」など、見分けることが難しいこともあります。
実際に、かゆみやフケなど頭皮に悩みがある方は多くても、その半数以上の方は「そのままにしている」「何も対策をしていない」ということが、多いようです。
フケに対するマイナスイメージから、なかなか他人に相談しにくいことも理由の一つかもしれません。
そして、ただフケをしっかり落とそうとゴシゴシとシャンプーで洗っているだけでは何も解決しません。
また、強い洗浄力のあるシャンプーに替えることも、頭皮を乾燥させることとなりフケを悪化させてしまうケースが少なくありません。
フケで悩んでいる方は、一度皮膚科を受診されることをおススメします。