鑿の種類と手入れについて(ウィークエンドのDIY)
【参考資料】「木工手道具の基礎と実践」より抜粋及び加工し表現しています。
作画:CADにてオリジナル製作しています。
鑿【のみ】の種類
追入鑿 (おいいれ)のみ
追い入れ鑿は家具や指物を作るときに、もっとも使われる鑿です。「枘穴(ほぞあな)堀り」や「切り欠き」などの作業で加工形状に応じた刃幅の鑿を使います。
叩き鉋の一つであり、柄の頭に柄の破損を防ぐ「冠(かつら)」とよばれる金属の輪をはめている部分を叩いて材料を加工します。
また、柄を手のひらで押すようにして「突き鑿」ように使うこともできるため最も基本的な鑿です。
追入ノミ
鎬鑿 (しのぎ)のみ
鎬鑿は追入鑿に比べて左右の面取り部分が鋭角になっているのが特徴です。そのため、蟻枘(ありほぞ)の胴付き部分や蟻溝の入隅の加工に役立ちます。
鎬ノミ
下イラストは蟻溝(ありみぞ)の鋭角になっている入隅を鎬鑿(しのぎのみ)で削っている様子です。
鎬鑿の面取り(側面の傾斜部)の角度が小さいため、蟻溝のような狭い角部の削りに適しています。
蟻溝の加工に適する鎬ノミ
薄鑿 (うす)のみ
薄鑿は枘穴(ほぞあな)の仕上げや、追込鑿の厚みでは入らないような狭い部分で使用するための鑿です。
突き鑿は手のひらで柄尻をついて使うとこが多いため、柄尻に「冠(かつら)」は付いていません。そして、柄尻は丸く加工されています。
薄ノミ
鏝鑿 (こて)のみ
鏝鑿は左官用の鏝(こて)に似た形状をしている突き鑿の一つです。溝の底の仕上げ削りや溝の止まり部分の削りなどに便利です。
鏝ノミ
外丸鑿 (そとまる)のみ
外丸鑿は鋼でつくられている穂(刃の部分全体)の裏側が凸に湾曲していて、ちょうど円柱を切り取ったような形状をしています。
主に宮大工に使用されており、丸柱や丸太材の取り付け部の加工に外丸鑿が使われています。刃の断面は半円のような断面形状ですが、直線的な彫り跡になるため円柱状の穴あけなどにも便利です。
外丸ノミ
内丸鑿 (うちまる)のみ
内丸鑿は主に彫刻道具として使用される鑿となります。刃の形状は外丸鑿と反対に鋼がついている穂の裏面は、凹型に湾曲しています。
彫り跡は直線的にならず、抉(えぐ)ったようになります。そのため、彫刻やお盆、鉢などの内側が凹面状のものを削るときに使います。
内丸ノミ
鑿【のみ】 各部の名称
ノミ 各部の名称
鑿【のみ】の手入れ
冠(かつら)には玄能で鑿を叩いたときに柄が割れたりすり減るのを防ぐ役目があります。購入した鑿の柄は仮挿しされた状態ですので、「冠合わせ」により冠(かつら)を正しく付け直す必要があります。
まずは、鑿の刃先の方から鑿の柄に沿って玄能を冠に当て、柄を回しながら繰り返し叩いて冠を外します。
冠を抜いた柄には「段差の跡」があります。その段差の部分をヤスリで軽く削り、段差部をなだらかにします。
冠を柄の元の位置に戻し、冠を柄の頭より2mm下がったところまで冠だけを叩いて入れます。(この時点で、冠の上から柄の部分が2mmはみ出した状態です。)
最後に、冠よりはみ出した柄の木口部分を玄能で叩いてめくるように広げます。これで「冠合わせ」の作業は終了です。
鑿の刃は鉋の刃と同じように片刃であるため、ダイヤモンド砥石による「裏押し」が必要になります。刃の鋼側(裏)を平らな砥石に当て研ぎ、「ウラスキ」以外の部分を全体に当たりがでるようにします。
その後、反対側の傾斜している刃の部分である鎬面(しのぎめん)を研ぎ、最後に仕上げ砥石で刃の裏面と表面からそれぞれ軽く研ぎ、「刃返り」が無くなるように仕上げます。
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