週末に行うDIYでは、正直ここで紹介するようなすべての鉋を使用することないかと思います。ただし、本格的な木工作業を行うようでしたら、なかなか便利な工具達かもしれません。
鉋の種類と使用法について(ウィークエンドのDIY)
【参考資料】「木工手道具の基礎と実践」より抜粋及び加工し表現しています。
作画:CADにてオリジナル製作しています。
鉋【かんな】とは
鉋は反りや捻りがある木材を削って、木材の表面を平らにし、艶のある仕上げにする道具です。中国から日本に伝わったのは、室町時代の中頃と考えれています。
当時、中国から伝わった鉋は洋式のカンナと同じように押したときに削れるようになっていたのですが、その後、日本では「鉋を引いて木を削る」ように統一されたのは江戸時代中頃のようです。
参考資料:「木工手道具の基礎と実践」、「ウィキペディア」
鉋【かんな】の種類
平台鉋 (ひらだい) かんな
平台鉋は平らな面を削るもっとも一般的な鉋です。
以前は、平台鉋にて荒削り、中仕上げ、上仕上げ削りと3段階で鉋を使い分ける作業が行われていたようです。
現在では、ある程度まで機械で仕上げた材料を入手できるため、上仕上げ用の鉋1台があれば十分といえます。
平台鉋は通常、大鉋と呼ばれ、同じ形状の小鉋、豆鉋に区別される。
平台カンナ
台直し鉋 (だいなおし) かんな
台直し鉋は平台鉋の下端調整に使用します。また、コクタンなどの堅い木を削るときにも使われます。
その作りは、鉋台に刃を垂直に仕込んだものが多く、鉋台は短く作られていて、立ち鉋とも呼びます。刃が立っているので、粉状の鉋屑がでます。
際鉋 (きわ)がんな
際鉋は段加工や入り隅を削るときに使う鉋です。
鉋の刃には、下面と片方の側面のにも刃がついており、刃は鉋台の底面と側面の角部からのぞくようになっている。右側面用、左側面用を1丁づつ持つのが基本となります。
刃の調整は、下面の刃を鉋台の底面に平行を保ちながら、刃と鉋台の角を一致させなければならないので、平台鉋の調整よりも難しくなります。
際ガンナ
反り台鉋 (そりだい)かんな
反り台鉋は大きく湾曲した面の内側を削るときに使う鉋です。
鉋台の下面が台頭から台尻にかけて湾曲していて、刃は直線で台のみが湾曲しているので、小鉋の台を削って作ることもできます。
用途は、椅子やテーブルの脚、椅子の背など曲面の内側などの仕上げに用います。
反り台カンナ
南京鉋 (なんきん)がんな
南京鉋はくり抜かれた円の内側や、棒状の材料の削りにも便利な鉋です。
南京鉋の構造は反り台鉋を横に伸ばしたような形をしていて、その伸びた柄を両手でつかんで使用します。
反り台鉋では大きく湾曲した面の内側を削るときに使用しますが、鉋台の下端のカーブよりきついアールの部分は削ることができません。そんな時に、南京鉋を使うことで「きつい曲線」部分を削ることができます。
一般的には裏金は入っていませんが、製造元により裏金を使ったものもあります。
南京ガンナ
四方反り鉋 (しほうぞり)かんな
反り台鉋は鉋台が長手方向に湾曲していますが、この四方反り鉋は鉋台が長手方向にも横方向にも湾曲しています。
この鉋は、大きな鉢やお盆の内側などの窪んだ形状の部分を削るときに使います。
四方反りカンナ
丸鉋 (まる)がんな
丸鉋は鉋台の下端が凹形に湾曲し窪んだ形状をしているのは内丸鉋といい、逆に凸型に湾曲しているのは外丸鉋といいます。
鉋台の下端の形状がそのまま加工物の仕上がり形状となるため、削る面の湾曲の度合いに適した丸鉋を準備する必要があります。
内丸ガンナ
角面鉋 (かくめん)かんな
角面鉋は木材の角を面取りするための鉋です。平台鉋に鉋を木材の角に∠45°傾けて当てるための治具を合わせたような構造になっています。
治具はネジで開閉する量を調整できるようになっており、治具の幅を狭めると糸面取りのように細く木材の角を削ることができます。
反対に、治具は鉋の刃幅まで広げることができるため、糸面取りから刃幅いっぱいの角面取りまで、好みの大きさで面取りを行うことができます。
角面カンナ
鉋【かんな】 各部の名称
鉋の各部の主な名称を下イラストにまとめています。
カンナ 各部の名称
「ウラスキ」とは
鉋のは、裏側に鋼、甲側に地金が鍛接されているため、裏を前面平らにするには大変な労力と技術を要する。そこで、焼き入れをする前に「ウラスキ」と呼ばれる浅いくぼみを作る。
「木工手道具の基礎と実践」より引用
「糸ウラ」とは
刃物の切れ味をよくするために、鎬面という刃先を斜めに研ぎあげられてた部分をきれいに研ぐことも重要であるが、裏面の平滑度が切れ味を大きく左右する。「ウラスキ」があることで、刃裏を平らに研ぐときに全面を研ぐことなく仕上げることができる。刃裏の刃先にできる細くて平滑な部分を「糸ウラ」という。
「木工手道具の基礎と実践」より引用
鉋の取り扱い方と調整法 (平台鉋)
参考資料:木工手道具の基礎と実践(要約と抜粋)
鉋(かんな)の取り扱いの基本
鉋は自分で調整しなくてはならない煩わしい道具ですが、視点を変えると、自分で調整することで自在にさまざまな木材を削ることができる大変便利な道具なのです。
そんな鉋のコンディションを維持するために、次の点について注意していただきたいと思います。
❶ 鉋にとっては台の変形は大敵ですので、湿気の多いところに置かず、乾燥したところで管理する。
❷ 鉋を日の当たる場所に置かない。
❸ 鉋を置くときは、刃先を傷めないために横向きにして置くこと。(下端を下にして置かない)
❹ 鉋を使い終わったら、刃先が刃口から出ないところまで鉋身を引っ込めてから保管する。
鉋(かんな) 刃の出し入れ
鉋の刃を出すときは、刃先が台の刃口に平行に出ていることが重要です。もしも、鉋の刃が傾いて出るようなら、鉋身に対する表馴染みと押え溝の当たり具合を確認し、必要に応じて調整します。
鉋身を台に入れるときは、まず手で鉋身を押し込みます。その後、玄能あるいは木槌にて鉋身の頭を叩きます。
刃が出過ぎた場合は、台の頭を叩くことで鉋身を引っ込めることができます。
鉋の刃の出具合は、鉋を裏返して台尻側からのぞいて確認することができ、もしも、刃が出過ぎているときは台の頭を叩き、刃が出具合が足りない時は鉋身の頭を叩いて調整します。
鉋(かんな) 鉋身と裏金の合わせ方
二枚刃の鉋は、鉋身の刃先よりも裏金の刃先をわずかに下げた状態で削ります。よく使われる表現として、「髪の毛一本分だけ裏金の刃先を下げる」といわれています。
しかし、裏金の刃先は「二段研ぎ」されているため、鉋身と裏金を合わせた状態で刃先の状態を確認しようとしても実際には見えません。
では、どのように調整したらよいのか?ここでは、「木工手道具の基礎と実践」のなかでの紹介されている方法についてご紹介します。
砲身と裏金の合わせ方
まずは、ある程度まで裏金を入れ鉋身の頭の方から刃先の部分をのぞき見たとき、手前に白く光った線は裏金の鎬面、奥に光って見えるのは刃口から漏れる光、そしてその間に黒っぽい線のように見える部分は鉋身の糸裏です。光の関係で黒っぽく見えますが、ここが見えなくなるまで裏金を入れると丁度よい。
「木工手道具の基礎と実践」より引用
裏金の刃先が鉋身の刃先よりも前に出てしまうと、もう一度研ぎからやり直すとこになりますのでご注意ください。
砲身と裏金の合わせ方
鉋(かんな) 刃の抜き方
刃を抜くときは、台頭の上の角を鉋身を取り付けてある角度と同じように斜め上から木槌で叩きます。
その際は、必ず鉋身と裏金を指で押さえ柄うようにして刃を落下させないように十分注意してください。
刃が手で抜けるところまでゆるんだら、裏金から先に抜き取り、続いて鉋身を抜き取ります。
鉋(かんな) 裏押し
鉋身の裏側は「硬い鋼」でつくられており、その裏面を少ない労力で平らにするために鉋身の裏側には「ウラスキ」と呼ばれる浅いくぼみがつくられています。
そして、刃先の裏側には「糸ウラ」といわれる細い平面がつくられています。最初から糸ウラが平面にできていればよいのですが、どうしても多少の狂いがあることあります。
そんな時、刃の裏側をダイヤモンド砥石で研ぎ、鉋身の裏を正確な平面にする作業のことを「裏押し」といいます。
鉋(かんな) 裏出し
裏押しをして、砥石に当たらない部分を当たるようにするまで研ぎます。その時、「ウラスキ」部分が減り全体が平らになる「べた裏」とよばる状態になることがあります。
その状態では、次に「裏押し」する際に更に時間がかかります。
そこで、こんな時に「裏出し」という鎬面から玄能で刃を叩き刃を裏に出す作業を行います。
裏出しのやり方
金床に鉋身の鎬面の地金部分をあてて、鎬面から刃を叩きます。玄能の角で鎬面の地金部分の上1/3(鎬面の地金部分の刃先側1/3)だけを叩く。必ず金床が下にある部分を叩きます。
「木工手道具の基礎と実践」より引用
鉋身 耳の修正
鉋身の刃幅が広く、押え溝にかかっている場合、木を削ったときにこの部分で削られた鉋屑はうまく排出されないために詰まってしまいます。
こんな場合は、刃が押え溝にかかっている耳の部分をグラインダで削り落とします。
グラインダーで鉋身の耳(刃先の両サイド)を削る際、刃の温度が180℃超えないようにします。グラインダーで刃を連続で削ると刃の温度が上昇しますので、容器にいれた水に刃を浸けながら作業を行います。
鉋身 耳の修正
鉋台の修正
刃の頭を玄能で叩いて入れるとき、刃が下端に対して平行に出てくるのが理想なのですが、刃が斜めに出てくる場合は台の調整が必要になります。
まず、当たりを確認するために、鉋身に油を塗って鉋台に取りけてみます。すると、当たりがきつい部分が黒くなります。
一度にすべての当たりがきつい部分を削るのではなく、まずは「押え溝」の調整をします。一度鉋身を鉋台に取り付け、このとき鉋身の横と押え溝の隙間に光が透けるくらいにします。そのあとに表馴染みを調整します。
刃の出が少ない方がきつくなっていますので、刃を抜いて表馴染みをほんの少し鑿で削ります。
刃の入り具合は、玄能を使わないで両手で鉋身を鉋台に押し入れたとき、下端側からみて刃先が下端の内側2~3mmのところまでくるようにします。
先に、表馴染みの当たりの調整を行って、その後に押え溝の調整を行うと表馴染みが緩くなりすぎますので、押え溝の調整が終わってから、表馴染みの調整を行いますが、必ずほんの少しずつ削りながら微調整します。
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