中古住宅の購入は2013年の夏でした。あれから9年が経ちましたが、キッチンのプチリフォーム記事の中にあるキッチン勝手口の内窓をいよいよリメイクすることにしました。
ハッキリとした記憶がないのですが、中空ポリカーボネートで作ったキッチン勝手口の内窓は、現在の住まいに越してきてから比較的初期のころに作った簡易内窓だと思います。
見た目としては、まだ十分に存在感があるものでしたが、部屋の断熱を考えるとあまり戦力とはなっていなかったように思います。
そこで、寒い冬にそなえ断熱効果を高める構造を意識しながら、アルミ角パイプの端材や中空ポリカーボネートを再利用してキッチン勝手口内窓をリメイクしてみます。
中古の中空ポリカーボネートを使ったキッチン勝手口の内窓リメイク
以前の内窓の問題点とは ー キッチン勝手口 ー
以前作ったキッチン勝手口の内窓は、手抜き製作のわりにデザイン的にはかなり気に入っていました。
内窓は引違い戸という作りになっているため、断熱効果を高めるだけでなく必要に応じて引違い戸をあけることで換気もでき重宝していました。さらに換気の際、引違い戸を中央に寄せることで目隠しとしても秀逸。
いっぽう、使い勝手としてはあまり良いものではありませんでした。
以前のキッチン勝手口内窓
スキマ風により引き戸がたわむ ー フレームが弱い ー
内窓の面材は中空ポリカーボネートを使用しているため断熱効果を高めることが期待できます。しかし、その構造はかなり貧弱であり強度不足であることは否めません。
簡単に説明すると、面材である中空ポリカーボネートの左右両端に細いアルミの板を両面テープで張り付けているだけというものです。
しかも、面材に3mmの中空ポリカーボネートを使っていることもあり、内窓をちょっと押すだけで内窓は簡単に撓んでしまいます。
以前のキッチン勝手口内窓はたわみによる隙間あり
北風が強い日は、キッチン勝手口のサッシドアのスライド網戸のところからスキマ風が漏れてきます。中空ポリカーボネート板の両端にアルミ板を張り付けただけの簡単な構造のため、スキマ風により内窓の中腹あたりが上のイラストのように張り出してきます。
その時の様子を上から見た断面としてイラストで表すと、下のように内窓は大きく張り出し、大きなスキマが出来てしまうことが分かります。
以前のキッチン勝手口内窓 すきま風が入る
引違い戸がうまく動かない ー レール溝の共用 ー
以前のキッチン勝手口内窓はもう一つの問題点をかかえていました。それは、内窓の開け閉めをスムーズにできないことです。その当時は、DIYで引違い戸の内窓を作るための具体的なアイデアが無く、とにかく冬のキッチンの寒さを多少でも改善できればとの思いで作ったものです。
そのため、「寒気の遮断」を主な目的と割り切り、2枚の引違い戸を1つのレール溝に差し込む形にしています。こうすることで内窓の気密性をアップできるのではないかと考えていました。
そして、2枚の引違い戸がうまく動かないもう一つの理由は、レール溝の固定方法に問題がありました。下のイラストのように溝幅10mmのレール溝の中に2枚の中空ポリカーボネート(3mm)とアルミの板(厚さ5mm)がピッチリと入り込む作りで、しかもレールを固定するためのビスがレール溝内にあるため、内窓を開閉するときの障害となっている状態でした。
以前のキッチン勝手口内窓 レール溝内にビスがあり開閉の邪魔
窓枠サイズに対応した既製品内窓とは
キッチン勝手口の窓枠内寸サイズは 高さ 1800mm 幅 625mm
私の記憶が正しければ、以前はこのような勝手口サイズの内窓に引違いタイプは無く、対応するのはFIX窓タイプのみだったと思います。
今回製作したDIY内窓と比較するために、FIX窓タイプの内窓を調べていたら、たまたま勝手口サイズの引違い戸タイプの内窓が存在することに気づいてしまいました。
ちなみに、プラマードUを例にとり考えてみると対応する最小幅は550mmです。この幅に2枚の引違い戸が入るわけですから、戸を開けても隙間は300mmもない状態です。
つまり、この狭い引違い戸は通り抜けられる内窓というより、「断熱効果を高め、必要に応じて換気ができる内窓」というイメージではないかと思います。
これまでいろいろ作ってみて個人的に感じている感覚なのですが、DIYで満足感を得るためには材料コストも意識することが重要だと思っています。(凝りに凝ってコストを度外視し、世に無いものを作るのも趣味の醍醐味ではあるのですが)
DIYの材料コストが既製品価格の1/3くらいに収まると作って良かったなという思いがあります。既製品価格の1/2くらいに収まると、まあ何とか許容範囲という感じですかね。主材料を検討する段階で既製品価格の1/2を超えそうであれば、私ならおそらく既製品を購入する方向で考えます。
YKKap プラマードU 引違い窓(2枚建)
ここでは、既製品内窓の販売価格(HPカタログより)を知るためにラインナップされているガラスの種類の中から、ごく一部を紹介しています。
ガラスの種類でもっともオーソドックスなのは単板3mmになりますが、私の好みで単板5mm(遮音効果を期待できるため)を紹介しています。
また、内窓により断熱効果をさらに高めるには複層ガラス(価格もかなり高くなります。)が効果的です。
プラマードU 引違い窓【単板】の価格 | ||
ガラス | 高さ | 幅 550~1000 |
プラマードU
単板 透明 5mm |
250~800 | ¥34,800 |
801~1200 | ¥39,300 | |
1201~1400 | ¥44,800 | |
1401~1800 | ¥74,000 | |
1801~2200 | ¥82,200 |
プラマードU 引違い窓【複層】の価格 | ||
ガラス | 高さ | 幅 550~1000 |
プラマードU
Low‐E 複層 透明 4mm+A10+4mm |
250~800 | ¥62,900 |
801~1200 | ¥72,100 | |
1201~1400 | ¥80,800 | |
1401~1800 | ¥133,000 | |
1801~2200 | ¥147,900 |
LIXIL インプラス 引違い窓(2枚建)
プラマードUと比較できるように、ほぼ同じ条件のガラスでの販売価格(HPカタログより)を紹介します。
インプラス 引違い窓【単板】の価格 | ||
ガラス | 高さ | 幅 ~1000 |
インプラス
単板 透明 5mm |
~600 | ¥31,000 |
~1000 | ¥35,000 | |
~1400 | ¥40,000 | |
~1900 | ¥68,000 |
インプラス 引違い窓【複層】の価格 | ||
ガラス | 高さ | 幅 ~1000 |
インプラス
Low-E複層ガラス 3mm+A12+3mm |
~600 | ¥41,000 |
~1000 | ¥48,000 | |
~1400 | ¥57,000 | |
~1900 | ¥96,000 |
YKKap プラマードU FIX窓(はめ殺し窓)
FIX窓であれば、ガラスのサイズが豊富なため選択肢が広がります。ただし、内窓はもちろん外窓の開け閉めもできなくなりますのでご注意ください。
同じサイズの窓で比較すると、引違い窓よりもFIX窓のほうが販売価格は安いようです。
プラマードU FIX窓【単板】の価格 | |||
ガラス | 高さ | 幅200~500 | 幅501~1000 |
プラマードU
FIX窓 単板5mm |
200~800 | ¥29,300 | ¥33,600 |
801~1200 | ¥33,600 | ¥36,500 | |
1201~1400 | ¥36,000 | ¥38,800 | |
1401~1800 | ¥39,500 | ¥42,200 | |
1801~2200 | ¥43,900 | ¥45,900 | |
2201~2450 | ¥50,500 | ¥50,900 |
LIXIL インプラス FIX窓 (はめ殺し窓)
こちらも、FIX窓ということで内窓はもちろん、外窓の開け閉めもできません。
インプラス FIX窓【単板】の価格 | |||
ガラス | 高さ | 幅~500 | 幅~1000 |
インプラス
FIX窓 単板5mm |
~600 | ¥24,000 | ¥27,000 |
~1000 | ¥26,000 | ¥30,000 | |
~1400 | ¥29,000 | ¥34,000 | |
~1900 | ¥34,000 | ¥39,000 | |
~2450 | ¥37,000 | ¥43,000 |
CADでキッチン勝手口の内窓リメイクプラン
今回のキッチンの内窓リメイクでは、断熱効果を高めることに重点をおいています。なぜなら、これまで冬が来るたび、キッチンでの足元の冷えに随分と悩まされてきたからです。
これまでもキッチン勝手口に内窓を付けてはいたのですが、フレームの強度不足という構造的な問題が大きく響いてスキマ風の侵入を防ぐことができない状態でした。
端材の利用、中空ポリカーボネートの再利用
下の写真は、これまでキッチン勝手口の内窓として活躍していた引違い戸タイプの中空ポリカーボネート板です。
ご覧の通り、枠組みを持たず中空ポリカーボネートの両端には細いアルミフレームを両面テープで貼り付けただけの簡単な構造のものです。
今回は、この中空ポリカーボネートは再利用の対象としており、新しく作る2枚の引違い戸の面材として、この中古の中空ポリカーボネートから切り出して使用します。
以前のキッチン勝手口内窓の引違い戸
断熱効果を高める工夫とは
内窓による断熱効果を高めるために断熱性能が高い中空ポリカーボネートを面材としています。そして、気密性を向上させるために寒気の侵入を防ぐ工夫をしています。
下部はFIX窓 上部は引違い戸タイプの内窓
FIX窓と引違い窓のコンビネーション
冷たい空気は重いために部屋の床近くに自然と溜まってしまいます。そこで、新しいキッチン勝手口の内窓は寒気がしのび寄る足元にFIX窓(はめ殺し窓)を採用しています。
FIX窓は開け閉めができない代わりに、気密性を高めるには有効な構造なのですが、念のために窓枠には気密性を上げるための「塞ぎ板」(下図のピンク:アルミアングル材)を追加しています。
そして、内窓の上半分は引違い戸タイプを採用し、内窓と勝手口ドアのスライド窓を開閉することで外気を取り入れることができる構造としています。
FIX窓と引違い窓のコンビネーション
引違い戸のレール溝
レール溝には下の写真のように「C形状断面」のチャンネルをつかっています。溝幅は10mm、板厚は1mm。また、引違い戸のフレームには□9×9mmのアルミ角パイプを使用しています。
つまり、2つの引違い戸がそれぞれのレール溝のなかで、互いに内寄りとなっている場合は2mm、互いに外寄りの場合4mm離れていることになります。(最大すき間4mm)
アルミチャンネルを2つ並べてレール溝
引違い戸の隙間を塞ぐ
下図は引違い戸の断熱効果を高めるための「毛足6mmのモヘアテープ」の取付け位置を表していますが、2つの引違い戸は最大すき間4mm離れているので6mmのモヘアテープが適度につぶれることで気密性をアップします。
また、モヘアテープを貼ったアルミアングル(下図のみどり)を窓枠側にも取り付けています。
すき間をモヘアテープでシール
引違い戸の重なる部分にモヘアテープを貼っている様子
内窓の製作準備
今回購入した材料は下の写真にあるアルミ材、M3小ねじ、接着剤で材料費は約1万円の支出となっています。
ちなみに、下の写真の左から5本は家にあった端材(リビング用内窓製作のときの余り)です。
面材に使用した中空ポリカーボネートも端材(リビング用内窓製作のときの余り)と中古品の再利用としています。
切り出したアルミ材
アルミ材の寸法
材料の準備 ー アルミ角パイプ端材の利用 ー
家にあった端材がもったいないので、何かに有効利用したいと思っていたのですが、リビング用内窓の製作に使用したときのモノだけに、やはり、内窓のとの相性が良いようです。
端材のアルミ角パイプをハンドグラインダーでカット
この端材の切断作業に関しては、さすがにホームセンターに持ち込む訳にはいきませんので、自宅で作業をおこなっています。
端材30×20アルミ角パイプ×長さ908mm 2本
端材30×30アルミ角パイプ×長さ625mm 3本
端材アルミ角パイプを作業台に固定
ヤスリでバリ(カエリ)取り除き整える
FIX窓部(内窓の下半分)の製作
FIX窓の組み立ての手順をイラストで解説します。
① まずはアルミ下枠を固定し、次に左右のアルミ縦枠を固定。
② アルミ上枠を継ぎ木部にはめ込み仮組します。
③ 中空ポリカーボネートを固定するためのアルミチャンネルを取付けます。まずは上下のアルミ枠にチャンネルを取付け、その後に左右の縦枠にアルミチャンネルを取付けます。
④ 中空ポリカーボネートをカットし、窓フレームに挿入。
⑤ アルミ上枠をはめ込んで固定(嵌め合いがきつめでしっかりしているため、接着してません)
FIX窓部の組み立て手順
アルミフレームとビスの取付け状況
アルミフレーム(上下枠、縦枠)の製作
アルミ角パイプを使った枠組み方法は、基本的にリビング用のアルミ製の大きな内窓と同じになるため詳しくは「中空ポリカーボネートとアルミ製の大きなDIY内窓の作り方」をご覧ください。
今回もアルミ角パイプと継ぎ木を組み合わせたハイブリッド構造部材としています。計画段階ではFIX窓の四隅に継ぎ木を配置していましたが、実際には縦枠の上部(2カ所のみ)に継ぎ木をはめ込んでいます。
下写真の継ぎ木を固定しているのが縦枠です。(セメダインスーパーXにて固定しています。)奥側に写っている切り欠きがあるアルミフレームは上枠になります。縦枠の継ぎ木が上枠の切り欠き部に組み込む構造にしています。
アルミ角パイプに継ぎ木を接着
アルミフレームの固定方法について、イラストで解説します。(縦枠、下枠)
① アルミ角パイプにボルト穴をΦ3.0~3.5mmくらいのドリルであけています。
② Φ5.5mmのドリルでサービスホールを開ける。
③ Φ2.5mmくらいのドリルで下穴をあける。(下穴無しではねじ込み出来ませんでした。)
④ 呼び径2.7mm(ネジ頭の径Φ5.0mm)の木ねじ丸頭(在庫品)を+ドライバーの先端にセロハンテープで固定。(極細ドライバーの磁気が弱かったため)
⑤ セロハンテープは気にせず、そのままねじ込みます。
⑥ 木ねじ丸頭をねじ込んでアルミフレームを固定後、中空ポリカーボネートを固定するためのアルミチャンネル(幅7.5mm)をアルミフレーム中央に取り付けます。
イラスト解説 アルミフレームの固定方法
FIX窓 組み立て手順 イラスト解説① 下枠に合わせて縦枠を固定する
イラストによる組み立て手順の①のところになります。今回は、もともとある勝手口サッシドアの窓枠を基準にして組み立てます。
窓枠から10mmの位置にアルミ下枠を固定して、下枠と縦枠が交わるコーナー部をクランプで固定してズレないようにします。
そして、アルミ縦枠の上の方を窓枠から10mmの位置に合わせケガキをいれると良いでしょう。そうすれば定規をはずしてフレームがケガキの位置からズレないことを確認しながら「フレームの固定方法」のイラスト解説③ Φ2.5mmのドリルで窓枠に下穴を開けます。
下の写真はアルミフレーム固定法のイラスト解説の④にあたり、極細ドライバーの先端にビスをセロハンテープで固定している様子です。
イラスト解説④ 極細ドライバーにビスを貼付け
FIX窓 組み立て手順 イラスト解説② 枠の仮組みの完成
図面上では窓枠の幅は625mmとしていますが、実際に625mmあるのは窓枠の一番下の部分だけです。その他の窓枠の中間位置と窓枠の一番上の部分の幅は622~623mmとなっています。
ですから、アルミフレームの長さは修正しています。
下部 FIX窓の組み立て
中空ポリカーボネートを固定するためのアルミチャンネル
中空ポリカーボネートを固定するためのアルミチャンネルは溝幅5.5mm、高さ10mm、幅7.5mmとなります。
M3小ネジを使用して固定すため、ボルト穴(Φ3.3~3.5mm)を縦枠には4カ所、上下枠には3カ所あけています。
穴あけ作業のポイント
穴加工の際は下写真のように、アルミチャンネルを裏返えして作業をおこなうと良いでしょう。写真をよく見ると、アルミチャンネルの中央に細いスジ(細くて浅い溝)があるのが分かるでしょうか。
スジにドリルの先端を当てると、ドリルの位置が定まりフレームの中央に穴をあけることができるようになっています。
チャンネル取付け用M3ネジ用の下穴(中空ポリカーボネートを固定)
下の写真では、穴位置がアルミフレームの中央から少しずれてしまっています。この場合、中空ポリカーボネートを固定するチャンネルをアルミフレームの真ん中に固定するとΦ5.5ミリのサービスホールが見えてしまいます。(穴が見える方を室外側へ使い、室内側から穴は見えません。)
Φ2.5mmドリルでM3ネジの下穴を開けます。
写真の右側の穴は下枠フレームを固定するときに使うサービスホールです。写真の左側の小さい穴はM3ネジの下穴です。
M3のタップをたてる
アルミ材へのタップ加工ですが、一応グリスもしくは切削油を少し塗布すると良いでしょう。
サービスホール(アルミ枠のねじ止め用)が隠れる
写真の中央のアルミ枠はチャンネルを正規の位置に置いていますのでサービルホールは見えません。上下の2本のアルミ枠はチャンネル(中空ポリカーボネートを固定する)をずらしていますので、サービスホールがあることを確認できます。
FIX窓の組み立て手順 イラスト解説③ チャンネルの取付け
写真はFIX窓のアルミ上枠にチャンネルを固定している様子です。クランプでチャンネルを固定してチャンネル取付け用のM3タップを加工しています。
上枠は取り外しできますので、上枠を外してからチャンネルを固定する作業をおこなっても構いません。その際は、チャンネルの位置がズレないように注意が必要です。
イラスト解説③ チャンネルの取付け
FIX窓の組み立て手順 イラスト解説④ 中空ポリカーボネートの取付け
アルミチャンネルを利用した中空ポリカーボネートの固定方法については、「中空ポリカーボネートとアルミ製の大きな内窓の作り方」の中で詳しく説明していますので、よろしかったらご覧ください。
FIX窓の組み立て手順 イラスト解説③のすべてのチャンネルの取付けが終わるとチャンネルを取付けた状態での内寸(高さA、幅B)を計測できます。下の写真は計測メモです。
イラスト解説④ 中空ポリカーボネートの取付け
写真の左側は窓枠の内寸(チャンネルを取付けた状態)、右側は内寸計測値に14mmをプラスして中空ポリカーボネートのカット寸法を求めています。
中空ポリカーボネートをカットする様子
アルミ材の端材を定規として、中空ポリカーボネートをカットしています。そして、室内の床材を傷めないように端材の板と段ボールを下敷きとしてカット作業を行っています。
詳しくは「中空ポリカーボネート板をカットする方法」をご覧ください。
中空ポリカーボネートを上から入れている様子
窓枠の幅寸法がFIX窓の上枠と下枠の位置で3mm違うのですが、狭い方の値に合わせてカットしています。(2つ上の写真、561+14=575mm)
FIX窓の組み立て手順 イラスト解説⑤ アルミ上枠を取付けて完成
FIX窓のサイズは内窓の気密性を良くし断熱効果を高めるために、面材として利用した中空ポリカーボネートの端材から最大限に大きくとれるサイズにしています。
イラスト解説⑤ アルミ上枠の取付け
FIX窓の上枠と縦枠のはめ込み
この内窓の中で、唯一継ぎ木を利用した箇所となります。そして、写真から分かるように窓枠にキズが入っています。ここは窓枠が狭くなっていたため、アルミフレームを極細ドリルとヤスリで短く微調整したものをゴムハンマーで軽く叩き入れたときのキズ跡なのです。(タッチアップすれば問題ナシ)
FIX窓の断熱効果を高める工夫 ー塞ぎ板の取付けー
FIX窓部は四方をアルミ角パイプで囲む構造としていますが、窓枠の歪みの影響で隙間ができるかも知れないと思い念のために「塞ぎ板」としてアルミアングルを準備しています。
アルミアングル材を使った塞ぎ板
勝手口サッシドアと内窓の裏側の位置関係
サッシドアと内窓のスキマはおよそ100mmです。内窓上部の引違い窓を開けると勝手口の取手は何とかつかめる位置にあります。
屋外から見たキッチン勝手口の内窓
この写真は屋外から勝手口をあけた状態で撮影をしています。ご覧のとおり、FIX窓の下枠、左右の縦枠には塞ぎ板のアルミアングルを取付けていますので気密性アップが期待できます。
引違い戸部(内窓の上半分)の製作
引違い戸の組み立ての手順をイラストで解説します。
① 上桟(かみざん)、下桟(しもざん)にはアルミ角材をはめ込んで接着固定、框(かまち)には切り込みを加工
② 框にボルト穴を加工、上桟と下桟に接着した継ぎアルミ角材にM3タップを加工
③ 中空ポリカーボネートを固定するためのアルミチャンネルを取付け
④ 以前の内窓の中空ポリカーボネートを再利用し、引違い戸のサイズに合わせて切り出し
⑤ M3小ねじで引違い戸の枠を組み立て完成
イラスト解説 引違い戸の組み立て
引違い戸の完成図 ネジ位置
赤で示したネジは上桟、下桟の継ぎアルミ角材にM3小ねじをねじ込むことで框を固定しています。ピンクで示したネジはアルミアングルをアルミフレームに固定するためのM3小ねじを表しています。
引違い戸の組み立て手順 イラスト解説① 上桟、下桟の加工
□9×9mmのアルミ角パイプ(内部寸法□7×7)を使った上桟、下桟に □6×6mmの継ぐためのアルミ角材を差し込んでいます。
もっと強度を高めるには、□8×8mmのアルミ角材を削り出して□7×7mmに仕上げるのが理想ですが、実際に加工するのは簡単ではありません。私はセメダイン スーパーXを流し込んで隙間を埋めるようにしています。(はめ合い部に、1mmのスキマがあるため剛性感は落ちてしまいます。)
イラスト解説① 上桟、下桟の加工
引違い戸の組み立て手順 イラスト解説③ チャンネルの取付け
中空ポリカーボネートを固定するチャンネルを固定するためのチャンネルを取付けています。チャンネルの取り付け方法はFIX窓と同じでM3の小ねじを使ってアルミフレームに取付けます。
作業のポイント
下の写真のように現合によるタップたて作業では、チャンネルをつけたままタップをたて、そのままネジを取付けると切粉がフレームとチャンネルの間に入り込み、ネジを締めても隙間ができる原因になることがあります。
現合によるタップ作業を行った後は、いちど現合部品(チャンネル)を取り外して現合部品の下に入り込んだ切粉をきれいに取り除くことをおすすめします。
引違い戸の組み立て手順 イラスト解説③ チャンネルの取付け完了
中空ポリカーボネートを固定するチャンネルの取付けが完了した状態です。このとき、上桟、下桟の両端に接着している「継ぎアルミ角材」には框を取付けるためのM3タップをたてています。
イラスト解説③ チャンネルの取付け
引違い戸の作業手順 イラスト解説⑤ 引違い戸の完成
引違い戸の面材として利用している中古の中空ポリカーボネートは3mmタイプになります。4mmタイプと同じくチャンネル取り付け後の内寸に14mmを足した寸法でカットしてみたのですが、チャンネルの内寸5mmに対して3mmの中空ポリカーボネートでは隙間が大きいため面材が動く緩い仕上がりとなってしまいました。
内寸5mmのチャンネルには4mmの中空ポリカーボネートのほうが相性が良いと言えます。
イラスト解説⑤ 引違い戸の完成
引違い戸の窓枠への取付け【計画】手順 イラスト解説
① 引違い戸の敷居にあたる部分で、室内側のレール溝としてアルミチャンネルを両面テープで固定
② 鴨居にあたる部分で、室内側のアルミアングルを両面テープで固定
③ 室内側の引違い戸を取付け
④ 屋外側のレール溝としてアルミチャンネルを両面テープで固定
⑤ 屋外側のアルミアングルを両面テープで固定
⑥ 屋外側の引違い戸を取付け
⑦ 鴨居の一番屋外側にレール溝の奥端として、大きなアルミアングルを取付ける
イラスト解説 引違い戸を窓枠に取付け
トラブル発生 サッシドアのドアクローザーが邪魔
まさかのトラブル発生でした。下の写真は暗くてよく分からいかもしれませんが、扉を閉めるドアクローザーのブラケットが室内側に張り出していたのでした。
取付け計画手順のイラスト解説③の引違い戸がある状態では、イラスト解説⑦のアルミアングルをドアクローザーの上側へもっていけないことが発覚。そこで⑦のアルミアングルを一度タッピンねじで取付け、その後ネジを外してドアクローザーのブラケットの裏側に⑦のアルミアングルを斜めに逃がした状態としました。
これで問題は解決できたかのように見えたのですが、今度はイラスト解説③の室内側の内窓は⑦のアルミアングルをぐらぐらにした状態でも入らないことが発覚したのでした。現場ではハプニングはつきものですね。何とかせねば
サッシドアのドアクローザーが邪魔
実際に行った取付け方法とは
おそらく、イラストで紹介した手順で組み立たほうが間違いなかったと思っています。しかし、幸いこの引違い戸のレール類は全て両面テープで固定する予定でしたので、テープの特性を活かす方法としました。
① まずは、一度取り付けたイラスト解説②のアルミアングルを取り外し
② 先にイラスト解説⑦のアルミアングルをネジで固定
③ イラスト解説の①と④のアルミチャンネルを両面テープで固定
④ イラスト解説⑥の屋外側の引違い戸をはめ込み、⑤のアルミアングルを両面テープで固定
⑤ イラスト解説③の室内側の引違い戸をはめ込み、②のアルミアングルを両面テープで固定
引違い戸をレール溝に取付け
なんとか、引違い戸が納った状態
レールの取付け作業は、写真のように引違い戸を中央に寄せて作業を行っていました。
引違い戸の気密性アップ ーモヘアテープー
アルミアングルには、あらかじめボルト穴をあけておきます。モヘアテープは両面テープによる取付けとなりますが、写真のようにアルミアングルに貼っておいても良いし、あるいは、アルミアングルを取り付け後にモヘアテープを貼っても良いと思います。
塞ぎ板(アルミアングル)にモヘアテープを貼付け
左側の窓枠にモヘアテープ付きアルミアングルを取付け完了
窓枠を見上げると、アルミ角パイプに3つのアルミアングルを組み合わせた鴨居の様子が分かります。写真左側は室内、写真右側は勝手口(屋外)となります。
写真のモヘアテープは屋外側の内窓との隙間を防ぎ気密性をアップします。
アルミ角パイプとアルミチャンネルを組み合わせた内窓の敷居
アルミチャンネルを並べただけのシンプルな作りとなっています。この内窓は頻繁に引違い戸の開け閉めを行うとは考えていないため、アルミチャンネルの溝をアルミ角パイプが滑る構造としています。
もしも、引違い戸の滑りが悪いときは敷居用のスベリテープを細く切って貼るつもりでしたが、その必要はないようです。
引違い戸の完成
意外とキレイに見える中古の中空ポリカーボネート
引違い戸の面材には中古の中空ポリカーボネートを使っていますが、枠に入れると意外とスッキリした印象となります。
屋外側からみた引違い戸タイプのDIY内窓
3mm中空ポリカーボネートがぐらつく ー対処とはー
さすがに溝幅5mmのチャンネルに、厚さ3mmの中空ポリカーボネートを入れるとなると隙間が大きすぎてガタガタとした印象を受けます。
そこで、ホームセンターで見つけた断面がU字(スリット状の切れ込み)の透明ビニル素材を使ってみました。
透明ビニール素材でガタツキを抑える
中空ポリカーボネートを固定するアルミチャンネルの屋外側にビニル素材のスリットを差し込むようにしています。はまり具合は若干あまいのですが、何とか落ちないレベルであるためこのまま一冬様子を見てみる予定です。
引違い戸の裏側 アルミチャンネルにビニル素材をはめ込み
シンプルな取手をつけてみた
リビングにあるアルミ製の大きなDIY内窓と違い、今回の引違い戸は剛性感が低く、しかも戸車を使っていません。ですから、引違い戸の開閉には少々気を遣っています。
そこで、開閉時にフレームの変形が少なく納まるように、取手の取付け位置を低くしてあります。また、リメイクによりレール溝内にビスは無い(両面テープで固定)ので以前の内窓と違いちゃんとスライドできますので大きな進化といえます。
アルミ製のシンプルな取手を取付け
キッチン勝手口の内窓リメイク完了
デザイン面からみた自己評価では、以前の内窓に及ばないと思っています。しかし、断熱効果の向上には期待をしています。
屋外から見る リメイクした内窓の全体像
浴室用の内窓に興味がある方へ
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・お風呂の寒さ対策 内窓で冷気をシャットアウト! 採寸と注文
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まとめ
この先もまだまだ燃料価格の高騰が心配される様相です。これからは電気、灯油いずれにしても貴重なエネルギーをいかに無駄なく有効に使っていくかが重要な時代となるでしょう。
といっても、ただ光熱費を節約して「夏の暑さ」を「冬の寒さ」を我慢するなんて出来ないですよね。だからこそ、身近な生活の工夫として住宅の断熱効果を高めることは非常に重要だと言えます。今は、思い切ってトリプルガラス窓(かなり高価)という選択肢もあります。
あるいは、その気になれば既製品の内窓を取り寄せて自分で設置することも可能なことから、内窓は住宅の断熱効果を向上させるための比較的手軽な手法といえます。
私はゼロから内窓をDIYすることを積極的におすすめするスタンスではありませんが、興味がある方は参考にしてみて下さい。
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