中古住宅の消臭対策でいろいろと試行錯誤してみた甲斐があり、転居後から悩まされていたニオイ問題も現在では落ち着きを得ています。
家に付着したニオイが気にならないレベルまでくると、あと気になってくるのは食事に関するニオイとなります。たとえば、焼き魚のあとや、ニンニク料理のあとのダイニングとキッチンは結構ニオイが残ってしまいます。
とくに、キッチンでのニオイ残りが気になります。キッチンには臭いを吸着しやすい布製品(ハンドタオルとカーテン)があるため、これまではけっこうな頻度でカーテンにファブリーズをするようにしていました。
そこで、このところあまり稼働していなかった寝室の脱臭機をキッチンに引越しすることにしました。
快適なキッチンのために、脱臭機にジャストフィットするキャスター台を作る
キャスター台の必要性
わたしが信頼をよせる「脱臭機 プラズィオン」はキッチンでもその能力を遺憾なく発揮してくれています。
もちろんのことですが、まずは臭いの元となるゴミを処分したり、汚れを洗い流し、こもった煙やニオイを換気扇で十分に排気します。
臭いを匂いで紛らわすこともまったく効果がないわけではないのですが、ニオイを発している元を除去しない限り、満足感は得られません。
(例えるならば、ペットの糞が転がっているところに香水をふりまいたり、糞のそばで脱臭機を稼働させているようなもの)
その後に、プラズィオンを稼働させることで残留した空間のニオイの除去と、付着したニオイの除去をしてくれます。
・調理の都度、生ごみは小袋に入れゴミ箱へ捨てる(もしも、三角コーナーをお使いでしたらその都度処分して生ごみを台所に放置しない。)
・食器は食事後に長時間放置せず、なるべくすぐに洗う(食後30分以内くらい)
・IHコンロを清掃
・アブラ汚れ(肉料理、焼き魚のいずれも結構アブラが出ています。)は流しに付着しやすいため、給湯器のお湯を使って洗い流します。
・アブラ汚れの食器や調理器具をお湯で洗ったあとは、シンクのゴミ受けやトラップ部分に汚れが残っていないかチェックします。(アブラ汚れは付着しやすい)
・シンクのゴミ受やトラップ周りのニオイが気になるときは、洗浄後にブリーチで殺菌
おかげで、今ではキッチンでほとんどファブリーズを使用しなくなっています。ただ唯一ちょっと困ったことが出てきました。それは、もともとさほど広くないキッチンに、まあまあ大きなプラズィオンがやってきたので、キッチンがかなり手狭に感じるようになってしまったことです。
とくに、困ったのが、キッチンボードに収納している、コーヒー、乾物や調味料類の出し入れがやりずらくなったことです。キッチンボードの開き戸や引き出しを開けるときに、そのたびにプラズィオンを持ち上げて位置をずらさないと「開き戸」や「引き出し」を開けられないという状況は、ちょっとしたストレスとなります。しかも、これは毎日のことなのでなおさらです。
そこで、この状況を改善するために有効だと考えたのが、キャスター台にプラズィオンを載せてプラズィオンを軽い力で移動させるという極めて原始的な方法です。
キャスターが目立なくするには
今回の製作で一つだけこだわったのは「キャスター台の低さ」です。台車の車輪がはみ出すことなく、しかもキャスター台と床の隙間を小さくする構造とすることです。
キャスター台を低くするためのレイアウトとは
下図には、私の思考の流れを絵で表してみました。(右から左へと移り変わっています。)
同じ戸車を使用したとしても、下図のように取付け方法をかえることにより、キャスター台の高さに違いが出てきます。
車輪のレイアウトとキャスター台の仕上がり高さ
上図の一番右の案で仕上げた場合のイメージ
上図の左から2番目の案で仕上げた場合のイメージ
上図には記していませんが、通常の戸車の次に目をつけたのが「ソロバン戸車」という大変小型の戸車(高価なため予算外)でした。その次にこころ惹かれたのがボールキャスター(床のキズが心配)です。
ホームセンターで手に入るもので、キャスター台を一番低くできて取り付けが簡単なのはボールキャスターだと思います。
ボールキャスターの特徴
メリット
・ボールキャスターは全方向に移動させることができるため便利。
・ボールキャスターはそのまま取り付けても高さが気にならない。
デメリット
・ボールの一点で支持するため、床にキズができやすい。
・重い荷物の移動には適さない。
・価格がやや高い。
戸車の特徴
下の写真はホームセンターで入手できた最小サイズの戸車
車輪の直径 約30mm 車輪の幅 約8mm
ホームセンターで購入した最小サイズの戸車
メリット
・安価である。
・多少重い荷物の移動でも問題なくスムーズに移動できる。
・床にキズが入る心配がない。(許容荷重を超えないこと)
デメリット
・戸車の取付けには、「取付け部」の加工が必要。
・戸車の車輪は小さいものがない。(ホームセンターで最小のもので約30mm)
・キャスター台を低くするには、キャスター台に取付け穴を貫通させ、台の上面に戸車の車輪がはみ出す構造となる。
・ソロバン戸車(こま径12.5mm)という小さいものがありますが、かなり高価である。
キャスター台の製作
今回の製作でこだわったのは
・「キャスター台の低さ」
・「車輪はキャスター台の横にも上面にもはみ出さない」
上の条件を満たし、出来るだけシンプルで安価に作れるような構造を考えてみました。
購入品
・集成材 板厚18mm (キャスター台のベース板)
・ビス(スペーサー内径 4.1mm に入る 3.8mm コースレッド )
・平ワッシャ (M5)
貫通化粧ナット
キャスター台の車輪として貫通化粧ナットを使ってみます。キャスター台と床との隙間を小さくし、それでいてキャスターがベース板の上面に出ないようにしたくて、出来るだけ小さな車輪として代用できそうなものを選んでみました。
車輪として使用した「貫通化粧ナット」
直径 約22mm 幅 約8mm
本来はナットとして使用するもので、M8のナットが中心部にあります。ですから、M8ネジ穴の山の径が最小径(穴径)となります。つまり、穴径は 6.75mm となります。
スペーサー
今回、キャスター台の車輪として使用するのは化粧ネジです。そのため車輪の軸穴はネジ溝(ネジ山)があります。もしも、ビスを車輪の軸としてそのまま固定すると、車輪の軸穴のネジ山と車輪の固定に使用するビスのネジ山どうしが干渉してしまいます。
そこで、ネジ山どうしの干渉をさけるために、スペーサーを使用し、スペーサーの内部を固定用のビスが通り、スペーサーの外部が車輪の軸穴のネジ山と接するようになります。
車軸(ビス)と車輪(貫通化粧ナット)のネジ部同士の干渉を防ぐ
YAHATA
スペーサー内径 4.1mm スペーサー外径5.3mm 板厚0.6mm
使用するネジ径 4mm
キャスター台 ベース板の加工
キャスター台のベース板のケガキ
キャスター台のベース板の形状は、もともと長方形をイメージしていたのですが、せっかくDIYするのだから、既製品のキャスター台と違って余分なはみ出しがなくフィット感のある仕上がりを目指すことにしました。
現物を板にのせてケガキ作業
今回は、特に図面を準備せずにプラズィオンの原寸に一定の寸法を足して縁取るようにしています。(多少は簡略化しています。)
プラズィオンを板にのせて 型どり
プラズィオンの外形から一定の幅で 型どり
カットラインのケガキ終了
左右のケガキ寸法が同じになるように、スケッチを(基準面からの寸法)修正しています。
スケッチの修正
キャスター台のベース板のカット
ガイド板をあてて手引きノコで集成材をカット
ガイド板を使って板をカット
ロックハンドクランプでガイド板を固定
ガイド板を左手で押さえながら右手でノコを引いてカットするだけなのですが、意識が右手のノコに偏っていると、「いつのまにかガイド板がズレている」なんてことがあります。
そんなうっかりミスを防ぐための工夫をご紹介します。このロックハンドクランプは固定と開放が簡単におこなえるので大変便利な固定用治具です。もともとは、木工ボンドで板を接着接合するときに使うために準備したものでしたが、ガイド板を固定するときにも大活躍しています。
ロックハンドクランプでガイド板を固定
ガイド板を固定してノコ引き
キャスター台のベース板のカット終了
プラズィオンより一回り大きいながらも、フィットする形状に仕上げています。
キャスター台の組み立て
キャスター台の組み立て作業イメージ
下図に車輪を組み立てる様子を表しています。見ての通り、構造はいたってシンプルです。貫通化粧ナットにスペーサーを差し込んで、車輪の両側に平ワッシャを当てた状態にしてから、トリマーとノミであけた車輪穴に入れて横からビス止めしているだけです。
車輪穴の位置を確認
台車や車(極端に長いなど特殊形状なものを除く)などでは、隅に車輪を配置すると安定性を得られます。ですから、このキャスター台でも板のなるべく四隅に車輪を配置したいと考えていました。しかし、車輪をあまりにふちに寄せてしまうと、穴を加工する際に板が割れてしまうリスクが高くなってしまいます。
ですから、下の写真のように一度部品を配置してみて、全体のバランスとビス止めできる位置であることを確認しています。
車輪を配置してバランスを確認
車輪穴をトリマーで荒加工
作業のコツ
車輪穴の荒加工は、トリマーを使っています。このように、比較的小さめの穴を加工する際は、細めのトリマービットを使用した方が扱いやすいと思います。
このようなケースでは、トリマーのガイドを使いづらいため、ガイドなしの状態で加工することになるでしょう。大きめのトリマービットを使うと、削りも速くはなるのですが、その分、ビットにかかる抵抗が大きくなり弾かれてケガキからはみ出したしまう可能性があります。ですから、小さ目のビットをおすすめします。
トリマーを使って車輪穴を荒加工
上の写真をアップしています。厚さ18mmの集成材に16mmくらいの深さで荒加工しています。ビットの刃渡りが10mm程度でしたので、加工深さの設定は2回(1回目は10mm、2回目は16mm)に分けて加工しています。
トリマーを使った荒加工
車輪穴をノミで穴を整えます。
車輪穴の底とベース板の上面はわずか2mmですので、ノミによる手仕上げを慎重に行います。ちなみに、ハンマーは使っていません。
車輪穴をノミで仕上げ
車輪の組付け
組立は先に図で紹介したように、貫通化粧ナットにスペーサーを入れワッシャで挟むようにして車輪穴に半分ほどのぞかせ、ビスを少しずつ挿入していきます。
車輪を車輪穴に組みつけ
このDIYキャスター台の完成後、はじめて転がしたときに思わず「わあ~~」て感じでした。実は想像以上に「ゴゥ~ゴゥ~~」という転がり音がするのでした。この音の原因は、車輪に使用した貫通化粧ナットのギザギザです。
ですから、もしも私のように車輪の代用品を探すときは、表面がなめらかな円形のものが良いですよ。
キャスター台の完成
いたって何の変哲もないキャスター台の完成です。それでも、通常の戸車を取付けた場合に比べるとかなり低いフォルムですので、シンプルですっきりとした印象となります。
床とのすき間が狭くスッキリとした印象
「キャスター台+脱臭機」でキッチンの使い勝手が向上
約3畳ほどのキッチンは一人暮らしにはちょう良い広さだと感じています。しかし、キッチンに流し台、冷蔵庫、キッチンボードを置くと、さほどゆとりがあるとは言えないくらいの状態となり、そこへ大きめの家電であるプラズィオン脱臭機を置くとなると、配置をどうするべきか悩ましくなってきます。
キッチンボードの開き戸が開けられなくて困る
ちなみに脱臭機が下の写真の位置では、キッチンボードの左半分にある「開き戸」をあけることができなくて困ってしまいます。
キッチンボードの開き戸を塞ぐプラズィオン
「キャスター台+プラズィオン脱臭機」を右に移動して解決
プラズィオン脱臭機をキャスター台の上に置くことで、脱臭機に軽く手を添えてやさしく押すだけで簡単に右側へ移動させることができます。
この状態なら、左側にある「開き戸」の開閉に問題はありません。
キャスター台をスライド 開き戸は開閉できる
キャスター台が低いので、ほとんどふらつきを感じません。
低重心で安定感のあるスライド動作
キッチンボードの引き出しが開けられなくて困る
脱臭機が下の写真の位置では、キッチンボードの右半分にある「引き出し」をあけることができないし、炊飯器を取り出すことも出来なくて困ってしまいます。
キッチンボードの引出しが開けられない
「キャスター台+プラズィオン脱臭機」を左に移動して解決
プラズィオン脱臭機をキャスター台の上に置くことで、脱臭機に軽く手を添えてやさしく押すだけで簡単に左側へ移動させることができます。
この状態なら、右側の「引き出し」の開閉に問題ありません。また、スライド台を引き出して炊飯器を楽に取り出すこともできます。
キャスター台を移動 引き出しは開閉できる
床に張り付く感じのキャスター台
快適なキッチン環境を作る脱臭機
プラズィオン脱臭機をキッチンに置くようになってから、ほとんどファブリーズの出番がなくなってしまいました。だいたい、食事の準備ができてから食器を片付けるまでの約1時間くらいプラズィオン脱臭機を稼働させれば、よっぽど強烈なニオイでない限りは気にならないレベルになるようです。
そのためいつのまにか、キッチンにプラズィオン脱臭機が常駐しているという安心感に甘え、ついついキッチンの掃除をさぼるようになったのでした。そして、掃除をさぼった結果、シンクのゴミ受やトラップから常に悪臭が発生し続けますので、当然ニオイはキッチンに充満することになるという「当たり前のこと」を気づかされました。
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いくら脱臭機に壁やカーテンなどの付着臭を消臭する効果があったとしても、常に悪臭を放つ「悪臭源」を絶たない限りは意味がないのです。つまり、悪臭を放つ原因を放置しないで、しっかりと掃除することが大切です。
家に付着したニオイでお困りの方、あるいは脱臭機に興味がある方はこちらの記事もご覧ください。
中古住宅や古い家のニオイでおこまりですか? 家に付着した嫌なニオイを消す方法をご紹介します。
既製品のキャスター台をご紹介
今回のような手作りキャスター台は手軽にDIYできるアイテムの一つだと思います。製作時間もさほど必要としませんので、気軽に作ってみてはいかがですか。
脱臭機のような家電を載せて動かせる平台車には興味はあるけども、自分で作るのはきれいに作れるかちょっと不安という方は既製品を選んでいいと思います。
下の写真のようにすっきりしたものもありますので、興味があるかたは一度チェックしてみて下さい。
まとめ
DIYのいいところは、既製品を購入するのと違って、自分の好きな形にアレンジできるところです。もちろん、時には自分の目的にジャストフィットする既製品に出会うこともあることでしょう。
今回のようにスペースにあまり余裕がなく手狭に感じている空間では、無駄のない造形は見た目のスッキリ感だけでなく、使い勝手にも直結してきます。
脱臭機をキッチンに置くことで、キッチンの使い勝手を損なうような状況が続くようでは、いくら脱臭力が評価されていてもいずれ脱臭機がキッチンからいなくなるところでした。しかし、キャスター台という原始的なツールとの組み合わせで、脱臭機の存在感はさらに増し、キッチンの快適度も大いに上がっています。
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