これまで木工をやってきて思うのは、木は繊維が集積しているため組織が均一な金属と違いどうしても「割れ」や「もげる」という特性があるということ。
だから、木材を加工するときには木材の特性を考慮して作業をしなくてはいけないようです。この記事では、木工ドリルを使って2×4材に木の繊維がもげないように穴をキレイにあける方法について紹介します。
2×4材にキレイな穴をあける方法とは
はじめに
DIYで棚やテーブルを作る際に、キレイな穴をあけることが必要です。キレイな穴は、見た目だけでなく、強度や機能にも影響するからです。
そこで、本記事では初心者でもキレイな穴をあけるための方法を紹介したいと思います。
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準備
穴あけに必要な道具
充電ドリルドライバー、木工ドリルビット、L型クランプ、当て木など
充電ドリルドライバー
穴あけ
先端にドリルビットと呼ばれる刃を装着することで、木材、金属、プラスチックなど様々な素材に穴を開けることができます。
ネジ締め・緩め
ドライバービットと呼ばれる先端工具を装着することで、ネジの締め付けや緩めを行うことができます。
充電ドリルドライバーの使い方
充電ドリルドライバーを使用する際は、以下の手順に従ってください。
バッテリーの装着
充電ドリルドライバー本体にバッテリーを装着します。バッテリーの装着方法は、機種によって異なるため、取扱説明書を確認してください。
ビットの装着
使用する目的に合わせて、ドリルビットまたはドライバービットを装着します。
モードの切替
ドリルモードとドライバーモードを切り替えます。ドリルモードは穴あけ、ドライバーモードはネジ締め・緩めに使用します。
回転数の調整
使用する素材や作業内容に合わせて、回転数を調整します。一般的には、硬い素材や大きなネジには低速、柔らかい素材や小さなネジには高速が適しています。
作業
トリガーを引いて回転させ、作業を行います。
木工ドリルビット
木工ドリルビットは、木材に穴を開けるために使用する工具です。先端にネジ状の刃が付いており、回転させることで木材を削りながら穴を開けていきます。
木工ドリルビットには、様々な種類があります。代表的な種類と用途は以下の通りです。
フォスナードリル
先端が平らで、底面に向かって刃が広がる形状をしているドリルビットです。比較的大きな穴を開ける際に使用されます。
ツイストドリル
先端が尖っていて、螺旋状の刃が付いているドリルビットです。最も一般的な木工ドリルビットで、様々な大きさの穴を開けることができます。
センタードリル
先端が尖っていて、軸の中心部に穴が開いているドリルビットです。正確な位置に穴を開ける際に使用されます。
ダボ穴用ドリル
ダボと呼ばれる木製の接続部を作るために使用するドリルビットです。
木工ドリルビットの使い方
木工ドリルビットを使用する際は、以下の手順に従ってください。
ドリルドライバーにビットを装着する
ドリルドライバーのチャックにビットを差し込み、しっかりと固定します。
穴あけ位置に印を付ける
木材に穴を開けたい位置に印を付けます。
ドリルドライバーの回転数を調整する
使用するビットや木材の種類に合わせて、回転数を調整します。
穴あけを行う
ドリルドライバーのトリガーを引いて回転させ、印に合わせて穴を開けていきます。
穴あけ後の処理
穴あけ後にバリが残っている場合は、やすりで削り取って仕上げます。
L型クランプ
L型クランプは、工作物を固定するための工具です。L字型の形状をしており、垂直方向と水平方向からしっかりと固定することができます。
クランプの種類
クランプには、様々な種類があります。代表的な種類と用途は以下の通りです。
C型クランプ
最も一般的なクランプです。締め付け力が強く、様々な用途に使用できます。
L型クランプ(F型クランプ)
C型クランプよりも口開きが広く、大きな材料を固定する際に使用されます。
バークランプ
複数のクランプを連結して使用できるタイプです。長尺の材料を固定する際に使用されます。
ハンドクランプ
片手で簡単に操作できるタイプです。仮止めや軽い固定に適しています。
L型クランプの使い方
L型クランプを使用する際は、以下の手順に従ってください。
クランプを固定する
クランプのベース部分をワークベンチやテーブルなどの作業台に固定します。
ワークをクランプで挟む
ワークをクランプで挟み、締め付けハンドルを回して固定します。
固定を確認する
ワークがしっかりと固定されていることを確認します。
当て木
当て木は、木材加工において一般的に以下の役割を果たします。
保護…ハンマーなどで叩く際に、ワークの表面を傷や凹みから守ります。
位置決…釘やビスを打つ際に、正確な位置に打つためのガイドとして使用します。
力の分…力を集中させることで、ワークを破損から守ります。
しかし、ここではドリルによる木材貫通時に繊維がもげ落ちるのを防ぐために、当て板を木材に密接させ木材と当て板を一体の状態として連続して穴加工を行います。
安全作業のために
保護メガネ、手袋、マスクなどの着用を推奨します。
穴あけ手順
穴といっても、加工方法によって貫通穴、皿穴、座ぐり穴などがありますが、ここでは、2×4材にキレイな貫通穴をあけるための手順を説明します。
穴あけ作業には木工ドリルと充電ドリルドライバーを使用します。また比較のため、別の穴あけ工具として自在錐を用意しています。
2×4材をクランプでしっかり固定
2×4材をL型クランプでしっかり固定します。このとき、2×4材の裏面、表面ともに当て板をあて密着させます。
2×4材をクランプで固定
上の写真のように方側だけをクランプして加工してみたら当て板が浮き上がってしまいました。そこで、下の写真のように穴か開いた当て板の両側をクランプすることにしています。
2つのクランプで当て板の浮き上がりを防止
同じ穴をたくさんあける場合、上面用の当て板をたくさん準備しても良いのですが、穴の開いた当て板(型板)を使用しても同じように木材の繊維がもげることを防ぐ効果があるのであれば一枚の型板を使い回すことができるという事になります。 ちなみに下側の当て板はその都度少しづつずらして、貫通穴は当て板のキレイなところに加工するようにします。
2×4材を木工ドリルで一気に貫通
下側の当て板は出来ればやや厚めの板が理想だと言えます。2×4材を木工ドリルで穴あけをする際、充電ドリルドライバーのドリルモードを使うと一気に貫通できるようです。
もちろん、使用する木工ドリルと充電ドリルドライバーの性能の影響もあるとは思いますが、材料が2×4材から当て板に切り替わった感じが掴めないうちに作業台までドリルの刃が到達していました。ですから、裏側に使用する当て板は厚めの端材を使用するほうが良いようです。
ドリルモードで一気に貫通
当て板の有効性は 上面では
当て板は家にあったものを適当に見繕って使用しています。上面には薄いべニア板を使用し、裏面には10ミリくらいの板を使用しました。
当て板(下)、2×4材、当て板(上)
たまたま発生した「当て板が浮き上がる」というトラブルでしたが、そのおかげで上面に使用する当て板はあらかじめ使用する木工ドリルで穴をあけたものを使用しても「繊維浮きを防止するために有効」であることが分りました。
しかも、穴が開いた型板を使用することができるので、ドリルの位置決めがし易くなるというメリットもあります。
「当て板」を使ってあけたキレイな穴
当て板の有効性 裏面では
これは、すでに多くの実績がある王道の手法ですから安定の仕上がりだと思います。
一気に穴加工すると、木工ドリルの切れ味もよくて刃先が作業台にまで到達していました。
2×4材の裏面
裏面でもキレイな切り口
自在錐を使った場合 穴の切り口はキレイ?
自在錐をつかった穴あけでは、結果として木材の繊維の浮きは比較的少ない印象を受けます。
自在錐
木工ドリルにも木材の繊維を断ち切るための縦刃があるのですが、自在錐の刃の鋭さには及ばないように思います。
自在錐の鋭い刃先
まあまあキレイな切り口だと思うのですが、やはり木材の繊維の方向によりスムーズなところと、毛ば立つ感じのところが混在するようです。
自在錐を使った穴加工
キレイな穴あけのポイントとコツ
2×4材にキレイな穴をあけるためには、次のような準備をおすすめします。
よく切れる木工ドリル
まあ、当たり前ですが刃物の切れ味は作業の結果を大きく左右します。木工ドリルは鉄鋼用のドリルと形状がまったく違いますので金属用では代用するのはあまり好ましくありません。
金属用のドリルでもビス止めの際の下穴程度でしたらまったく問題ありませんが、大きめの穴をあける時は木工用ドリル、ホールソー、自在錐などが必須となります。
ホールソーもちゃんとしたものであれば良いのでしょうが、ホールソーと自在錐は工具の形状により厚みのある材料に貫通穴をあけることができない場合がありますので、加工可能な厚みを調べてから購入しましょう。
木工ドリルなら二枚刃がおすすめ
絶対にこれでなければいけない! とは思っていませんが、二枚刃の木工ドリルはかなりおススメです。30ミリというサイズでも難なく貫通穴をあけることができました。しかも充電ドリルドライバーを使用して。(大きな穴をあける場合は大きな負荷かかるので、通常なら有線の大きな電動ドリルが必要なのではないかという印象を持っていました。)
二枚刃の木工ドリル
二枚刃のドリルは切削の負荷が少ない
さほど大きくない穴をあけるのであれば、従来型の木工ドリル(一枚刃)でも全く問題ないと思います。
従来型の木工用ドリル 一枚刃
「当て木」と「クランプ」の活用
木材にキレイな穴をあけたい時には、端材で構いませんので是非「当て板」を使用することを強くおすすめします。
自然素材であるため、木の繊維の挙動は予測がつかない時があります。しかし、当て木をクランプでしっかり固定した状態にすると木材表面の繊維は身動きが取れなくなり安定して加工ができるようになります。
ただし、正確な位置に穴をあけなくてはならない時は、当て板が邪魔になるときもでてくるでしょうから、穴の用途に合わせて対応することが必要だと言えます。
力強い電動工具
厚さ38ミリの2×4材に穴をあけるとなると、やはり力強い電動工具が必要になります。ほとんどの木工ドリルはインパクトドライバーによる施工にも対応していると思いますので、インパクトドライバーでしたら14.4Vでも大丈夫だと思います。(私のマキタ14.4Vインパクトで問題なく穴あけできました。しかし、振動で無理やりあけている感じは否めません。)
できれば、18Vの充電ドリルドラバーが理想ではないかと思います。
14.4Vインパクトドライバーは安価で軽量であるためDIYで気楽に使える電動工具です。なんといっても軽いので扱いやすい点がマル。
しかし、バッテリーがあまり長持ちしません。リチウムイオン電池の場合は充電された電気を使い切ってしまうとバッテリーの劣化が進むと言われていますので、バッテリー残量が半分になったら充電するくらいが良いようです。
旧式の14.4Vバッテリーにはバッテリー残量のインジケーターが無く、ついつい電気を使い切ってしまいバッテリーのポンコツ化を加速してしまいました。(ググってみると最近の14.4Vバッテリーはハイコーキ、マキタともにバッテリー残量のインジケーターがついているようです。)
二枚刃の木工ドリルをつかって2×4材に穴をあけ作ったものとは
まとめ
結論:2×4材にキレイな穴をあけるなら、二枚刃タイプの木工ドリルをつかって当て木を使うのがベストだと思います。
38ミリという木材の厚みは意外と穴あけのハードルが高いものです。ホールソーや自在錐をお使いになる場合はロングタイプ(加工厚み40ミリ以上)のものを用意するか、表面と裏面から加工して穴を繋ぐ方法もあります。
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