古民家では、高床式の座敷となっていることが多いかと思います。その作りは、夏の暑さを「しのぐ」ための工夫なのか、あるいは、日本特有の湿気の多い環境下でも家屋が腐らないための工夫なのではないかと言われています。
床を高くすることで、通気性はかなり良好といえます。その証拠に、我が実家を始め多くの古民家は軽く100年以上の歴史を刻んで今もなお健在しています。しかし、「床が高い」その作りゆえ、生活で不便を感じることもあります。
それは、なんといっても、玄関土間と座敷の「上り下り」でしょう。バリアフリーを意識した住宅しか知らない人からするとかなり非常識なつくりともいえます。そんな、高床式の古民家で少しでも暮らしが快適になるように、土間と座敷の上り下りが楽になるようにするためのアイデアを形にしてみました。
古民家の「上り下り」を楽にする。高齢者にやさしい「上がり台」をDIY。
上り下りが不便な作り 高床式の古民家
築100年を超える実家の玄関土間では、床高さ約630mmの座敷と土間の間には、中間の高さに上がり框があり多少は上がりやすくなっています。
しかし、玄関を入り、土間の正面側には増築したキッチンダイニングがあり、その床高さは座敷ほどの高さはないものの、それでも土間から500mmくらはあります。ですから、上がるのは結構大変なのです。
それで、多少でも土間からキッチンへの「上り下り」が楽になるように既製品の上り台を準備することを検討していました。傾斜している土間に上り台を置いただけでは安定感にかけるので、どっしりとして「安心して上り下りできる上り台」をつくることにしました。
ぐらつかない「安定感」が必要。 だから、コンクリートとブロックで基礎づくり
もっとも重要なのは、少々のことではぐらついたりしない安定感があること。
特に、座敷から下りの時は、瞬間的に体重をかけるので足腰が弱くなっている両親にとっては、キッチンから土間に下るときに上り台が少しでもぐらつくとケガにつながります。若い時のように、体が反応して態勢を整えることができるとはとても考えられません。
そのような、事故防止の観点から選んだのは、コンクリートブロックをコンクリートで固定するというものでした。
その中でも、土とコンクリーとを、しっかりつなげるためにバラスが土に食いつくことをイメージして、土間の硬くなった土を50ミリほど掘り起こし土を除去しています。
掘り起こした後のごつごつした土の表面にバラスを撒き、水平を確認し、整えてからコンクリートを粉のままかけて水をかける。
その上から、通常と同じように、作ったコンクリートを約10ミリ厚さに広げてから、コンクリートブロックを据える。コンクリートブロックの水平を確認しながら、必要数を並べて乾燥させる。
土間上がり台のつくり
角材でコンクリートの上に基礎面をつくり、化粧板で仕上げる
十分に乾燥させたコンクリートブロック基礎の上に角材をコンクリートビスで固定。
化粧板を固定する前に、上り台を試してみたところ、もう少し高い方が使い易いことが判りました。それで、台の高さを調整するために角材を2段にしてその上から化粧板を固定することにしました。化粧板は、表面の仕上がりに光沢があり滑らかなものをホームセンターで選んでいます。
横の切り口部分は、同色のニスをチョイスして仕上げてみました。ブロックは土間の土の色に馴染みやすいこげ茶の油性ペンキスプレーで仕上げています。コンクリートブロックの塗装は、化粧板を取り付ける前に施工しています。今回は油性ペンキスプレーを使用しました。
スプレー後、シンナーの匂いが、なかなか消えなくて、油性塗料の選択は家族から不評でした。窓を開けて換気してもしばらくはシンナーのニオイが残りますのでご注意ください。
油性塗料は基本的には屋外での使用が望ましいと思います。
もしも、この記事を参考にされる場合は、水性塗料の使用をおすすめします。
土間を掘り傾斜を吸収
玄関土間では、土間コンクリートや土間タイルと違いどうしても凹凸となってしまうようです。そのように傾いた場所に上がり台を設置する場合は上がり台の水平を出す必要があります。
その場合の選択として、盛り土で水平を出すか、あるいは掘り下げて水平を出すかになります。
土間を掘り下げて設置した「上がり台」
上がり台は昇降性を考え入り口から離してます
上がり台を設置する場合、設置場所の位置決めは重要になってきます。あまり近過ぎると特に降りる際に使いづらくなってしまいます。ですから、ブロックを仮置きするなどして昇降性を確かめてから位置を決めると良いでしょう。
傾斜地での仮置き台を使った試し降りの際は転倒の危険があるため用心しておこなってください。
昇降性を考慮して建屋より少し離した「上がり台」
光沢ある板をチョイス、切り口は同色のニスで仕上げ
ホームセンターで一目ぼれして買ったゴールデンオークカラーの化粧板を天板として使っています。基礎はコンクリートブロックを3つ横に並べていますので、サイズは奥行200mm 幅920mmといったところです。
購入した400×1000mmの化粧板を300×1000mmと100×1000mmにカットしてもらい、300×1000mmの天板は基礎ブロックよりもやや広くなっています。余った切り板を角材の目隠しとして前面に使っています。
化粧板の切り口と角材はゴールデンオークのニスで仕上げています。
切り口は同色のニスで仕上げた「上がり台」
CADで提案 縁側やウッドデッキの上がり台はいかが?
縁側にコンクリートブロックを使った「上がり台」
我が家では、裏庭に既製品の木製ベンチを使って、ウッドデッキ風の縁側を設置しています。
しかし、その縁側から庭までが意外と高低差があるため上り下りが楽とはえません。そこで、アイデアといえるほどではありませんが、コンクリートブロックを使った上がり台を上の絵のように屋外に設置しても良いのではないかと考えています。
もしも、コンクリートブロックを使って上がり台をつくられるときは、安全のために、必ず「モルタル」もしくは「コンクリート用接着剤」でしっかりと固定してお使いください。
高齢になる両親の生活をサポートするDIYに興味がある方へ
まとめ
高齢者にとっては、バリアフリーな住環境がベストだとおもいますが、どうしても、段差を排除できないケースも出てきます。そんな時に、少しでも家の段差の上り下りを楽にするために「上がり台」はある程度の効果があると思います。
上がり台を設置の際に一番注意しなくてはいけないのが、「上がり台をしっかりと固定する」ことです。もしも、「上がり台」がしっかりと固定されていないと、「生活を快適にするために」設置したはずの上がり台で怪我をしてしまいますので十分ご注意ください。
この記事が「ほんのり豊かに、快適に暮らす」ためのヒントになりましたら、幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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